【優れた燃費に運転の楽しさプラス】トヨタ・ヤリス・プロトタイプへ試乗

公開 : 2020.02.14 10:20  更新 : 2021.01.28 16:42

パワーを向上させつつ環境負荷は軽減させた、トヨタ製コンパクトカー、新型ヤリス。英国編集部は、プロトタイプにポルトガルで試乗しました。先代までのヤリスを大きく越える、好印象のドライビング性能も獲得しているようです。

TNGAアーキテクチャに1.5Lエンジン

text: Alan Taylor-Jones(アラン・テイラー−ジョーンズ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ほとんど意味のないカモフラージュが施されているのが、第4世代へと進化したトヨタヤリス・プロトタイプ。日本では、これまでヴィッツと呼ばれてきたモデルだ。

スポーティなGRヤリスのプロトタイプに以前試乗しているが、今回はより販売台数を稼ぐであろう5ドア。現実世界に適合した欧州仕様のハイブリッド・モデルとなる。

トヨタ・ヤリス・プロトタイプ(欧州仕様)
トヨタ・ヤリス・プロトタイプ(欧州仕様)

一気に電動化技術の採用が進む昨今の自動車業界にあって、トヨタはきっと誇らしく自らの歩みを感じているだろう。欧州版のトヨタ・ヤリスには、2012年からハイブリッドを搭載してきたのだから。

3代目に習って、生まれ変わった4代目にも、もちろんハイブリッドを搭載する。プラットフォームは、カローラなどと共通のTNGAアーキテクチャを採用。ねじれ剛性は37%向上しているという。

ホイールベースは伸ばされ、全幅も50mm拡大。一方で全長は5mm短くなった。全高も低くなり、シートポジションは21mm、重心高は12mm、路面へ近づいた。

これらは機敏な身のこなしと、ドライバーへの喜びへとつなげる変更ではある。しかし、冴えないこれまでのハイブリッドシステムだったのなら、充分に目的には叶わなかっただろう。

欧州仕様の4代目ヤリスには、1.5Lの3気筒アトキンソンサイクル・エンジンが搭載される。このロングストローク型のエンジンには、2基のモーターと強力なリチウムイオン・バッテリーが組み合わされる。

パワーは16%向上、CO2は20%削減

ありがたいことに、先代ハイブリッド比で16%もパワーは向上。そのうえ二酸化炭素の排出量は20%削減している。システム総合での最高出力は115psで、0-100km/h加速は2秒短縮の10.3秒となっている。

パワーが増したことで、これまでほどエンジンを熱く燃やす必要もなくなった。不満のない加速を得ながら、静寂性も高めているようだ。早速走り始めてみよう。

トヨタ・ヤリス・プロトタイプ(欧州仕様)
トヨタ・ヤリス・プロトタイプ(欧州仕様)

殆どの場面で、ヤリスは静かなパートナーに徹する。エンジンの発するノイズは控えめで、多くのライバルより大人しい。CVTを採用したハイブリッドらしく、時折エンジンの回転数が高めに留まることがある。だが、さほど息苦しくは聞こえない。

少なくとも都市部での交通環境では、エンジンは長時間回っているわけではない。トヨタによれば、80%程度の時間はEV状態で走行できると主張しているが、筆者も実際にそう思える。

モーターとエンジンとで主役が交代する場面でも、ほとんど知覚はできない。僅かなエンジンノイズと、ステアリングホイールに伝わる振動が、ガソリンをススルように燃やしていることを教えてくれる。

燃やすガソリンは、本当にススル程度。今回試乗したルートには、都市部や高速道路のほか、手強い峠道も含まれていた。2時間走行して得られたトリップコンピューター上の燃費は、21.7km/Lだった。

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