ロードテスト BMW M8 ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2020.02.15 19:50  更新 : 2020.02.21 21:21

走り ★★★★★★★★☆☆

M8コンペティションのローンチコントロールを作動させるのは、どちらかというと複雑な操作が求められる。しかしその成果は、環境さえ許せば、一見の価値がある。

比較的ドライなコースであっても、このM8の発進はそれほどクリーンではない。だが、いったん走り出せば、速度の上がり方はたいしたものだ。

バイワイアブレーキの作動は直観的ではない。もっとナチュラルなフィールを望みたい。
バイワイアブレーキの作動は直観的ではない。もっとナチュラルなフィールを望みたい。    OLGUN KORDAL

まず、その強大なパワーとトルクを、トラクションを途切れさせずに路面へ伝えるため、シフトチェンジを繰り返しているのが感じ取れる。しかし、ほぼ即座に踏ん張り、ロケットのように飛び出していく。

腰のあたりには、シフトアップのショックがややアグレッシブに伝わる。トランスミッションは次のギアを選ぶまでに、エンジンを7200rpmのレッドゾーン近くまで回す。

サウンドは、AMGのV8のベストなものほど大きく個性的ではないが、動力性能のデータは、BMW M最強ユニットの効力を証明するものだ。

ソフトトップを格納した状態で計測した加速タイムは、0-97km/hが3.3秒、0-161km/hが7.4秒。3.6秒/8.1秒だったコンチネンタルGTや、4.0秒/8.4秒のDB11より速い。スーパーカーの領域にさえ近づいているといっていいほどだ。

固定ギアでのパフォーマンスもまた、見劣りすることはない。4速での48-113km/h加速は4.1秒だ。

これだけすばらしい直線加速を見せるM8コンペティションだが、そのパワートレインに欠点がないわけではない。もっと穏やかに走っていても、攻撃的な性格は根底から消えないのだ。それが、ゆったり走らせる、リラックスしたGTカーという側面を損なうほどに。

トランスミッションは、ときとして変速が過剰と思える。シフトダウンは、必要以上に頻繁で、しかも急ぎすぎる。

カーボンブレーキは、かなり強力なストッピングパワーを発揮し、この重たいオープンカーを113km/hから完全静止させるまでに要する距離は44mジャストだ。

ところが、新採用のバイワイアブレーキシステムは、期待したほど直観的に作動してはくれなかった。コンフォートモードでは、踏みはじめで唐突な効きを見せる。スポーツモードではそれがさらに増幅され、コーナーでのブレーキングが早く急すぎてしまうこともしばしば。

タイトな制動力のコントロールもあって、楽に扱えるブレーキとはまったく感じられなかった。テスター陣は、もっと踏み具合に対して自然な効き方をするブレーキに変えてほしいという意見で一致した。

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