【日常性と走行性とのベストミックス】ポルシェ・マカンGTS 2.9L V6ツインターボ
公開 : 2020.02.18 10:20
ハンドリングもブレーキも不満なし
マカンGTSの1-100km/h加速は4.9秒だが、より値の張るターボと同じくらい速く感じる。スポーツクロノ・パッケージを選べばさらに0.2秒縮めることができるという。
ステアリングホイールのダイヤルで、GTSとしてベストな、スポーツ・モードかスポーツ+モードを選択する。アクセルレスポンスは適度にシャープになり、エグゾーストからはアクセルオフで破裂音が響くようになる。
GTSの直線的なエネルギーの高まりと確実なハンドリングがあれば、目的地までの移動手段として完璧なマシンとなるだろう。
ステアリングはクイックで重み付けも好印象。ターンイン時の食いつきも目をみはるほどで、少々オーバースピードでコーナーへ侵入しても、PTMがマカンのアンダーステアに対抗してくれる。
中速コーナーでのバランスも良好。アクセルを早めに踏み込むとリアタイヤがわずかにムズがるが、フロントタイヤへ即座にトルクが分配され、弾かれるようにコーナーを脱出する。身のこなしは素早く落ち着きがある。より小さく軽量なホットハッチのような印象すら与えてくれる。
車重は1910kgもあるマカンGTSだが、標準のスチール製ブレーキディスクでも、強力な制動力と耐フェード性を備える。ペダルを踏んだフィーリングと、ブレーキの反応は完璧な一致を得ている。
他のモデルと同様、タングステン・カーバイド層を与えたPSCB(ポルシェ・サーフィスコーテッド・ブレーキ)や、カーボンセラミック・ブレーキも選択はできる。だが、標準のブレーキでも必要以上の性能を持っていると思う。
圧倒的な走行性能と日常の使いやすさ
もし不満を上げるのなら、乗り心地が想像より良くないこと。スポーツモードやスポーツ+モードでは、完璧な姿勢制御を披露するが、ハイスピード・コーナリング中の起伏では、跳ねてしまう可能性がある。
ノーマルモードでは柔軟性が若干高まり、路面の処理も上手にこなせるようになる。それでもサスペンションのストロークは短く、低速域では強めの振動が、不規則に車内へ届いてしまう。
残りのGTSは、想像どおりのマカン。アルカンターラのインテリアは設えも完璧。乗り心地も穏やかで快適な部類に入るし、家族でのドライブにも充分な広さを備えている。マカン並みに、ポルシェ製モデルで一緒に暮らしやすいクルマは多くはない。
高性能SUVに対する意見は分かれるところ。しかし技術的な到達度の高さや、ドライビングマシンとしての完成度を見れば、ポルシェ・マカンは他に例がないほどの仕上がりを得ている。
手を焼きそうなカーブの続く道でも、トリックでも隠されているかのように、ハイスピードで駆け抜ける。マカンでもGTSは、やはり圧倒的なパフォーマンスと日常の使いやすさを、見事に融合させていた。
マカンGTSは、注目すべきオールラウンダーだ。この内容でマカン・ターボより1万ポンド(143万円)も安いという点も、見逃せないだろう。
ポルシェ・マカンGTSのスペック
価格:5万8816ポンド(841万円)
全長:4697mm
全幅:1923mm
全高:1624mm
最高速度:260km/h
0-100km/h加速:4.9秒(スポーツクロノ・パッケージ:4.7秒)
燃費:10.4km/L
CO2排出量:218g/km
乾燥重量:1910kg
パワートレイン:V型6気筒2894ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:381ps/5200-6700rpm
最大トルク:52.9kg-m/1750-5000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック