【164年の歴史にピリオド】GM、豪州ホールデン・ブランド廃止決定 2021年末 オーストラリア首相「むしろ怒り」
公開 : 2020.02.19 10:50
GMが、傘下にある豪州ホールデンの業務を、2021年末までに終了すると発表しました。164年の歴史を持つ同社は、豪州とニュージーランドの工業化と発展の中心的存在でしたが、近年業績不振が続いていました。
もくじ
ホールデン・ブランド
ゼネラルモーターズ(GM)は、傘下にあるホールデン・ブランドを、2021年末までに廃止することを決定した。
オーストラリアの歴史あるブランドは、その164年の歴史に幕を下ろす。
これにより、600人が失業すると予想されている。
ホールデンは、1856年にメルボルンで設立され、1931年からGMの傘下にはいっている。
何十年にもわたり、オーストラリアおよびニュージーランドのマーケットを支配していたが、近年、シェアは劇的に減少し、大きな損失を出していた。
2017年、GMがオーストラリアでのホールデンの製造事業を閉鎖してからは、同社は輸入およびリバッジされたオペルとGMモデルの販売を行っていた。
GMインターナショナル・オペレーションズのシニア・バイスプレジデント、ジュリアン・ブリセットは、ホールデンの「引退」について、GMがオーストラリアおよびニュージーランド市場で競争力を高めるために必要な投資が、その収益を上回ると判断したためと述べている。
GMは、この決定は「国際事業を変革する」努力の一環であると述べている。
「160年の歴史を通じ、ホールデンは自動車の製造だけではなく、オーストラリアとニュージーランドの工業化と発展の中心的存在だった」とブリセットは言う。
「近年、世界的および地域レベルで大きな変化を遂げる自動車業界で、ビジネスを維持、改善するため、さまざまな戦略をローカルチームとともに実施してきました」
「しかし、総合的に評価した結果、オーストラリアおよびニュージーランドで長期的に成功するために必要な投資を、他の投資事項より優先的するという結論には至りませんでした」
「ホールデン側に問題があった訳ではなく、これはGMの世界的な投資の優先順位に基づいた決定です」と追加した。
ブリセットは、GMは今後、パートナーと協力し、オーストラリアとニュージーランド市場での特殊車両の販売に注力すると述べている。
GM難しい決断
GMのCEO、メアリー・バーラは「難しい決断でしたが、正しい選択をすべきだと判断しました。国際事業を再構築し、収益を出すための適切な戦略のある市場に焦点を当てます」と述べている。
「特にEVとAV(自動運転車)の分野で、モビリティの将来の成長を促進するグローバルな投資を優先的に行っていきます」と付け加えた。
オーストラリアの首相、スコット・モリソンは、「がっかりしたが驚いてはいない。むしろ怒っている」
「多くのオーストラリア人の期待に反し、GMはブランドを枯らしてしまった。置き去りにされた気分だ」と述べている。
GMホールデンのマネージング・ディレクター、クリスチャン・アキリナは、2021年の事業終了前に、ブランドに「敬意を払う」ことを約束している。
「オーストラリアとニュージーランドの、成長と発展のけん引役を担ってきたホールデンは、これからもわたし達の特別な存在であり続けるでしょう」
「今回の決定は、160年もの歴史を誇り、生活の一部としてホールデンを愛する、多くの人々に大きな衝撃を与えました」と述べた。
GMは、南米、中東、韓国の「コア市場」を中心に、国際ビジネスの焦点を再設定するとしている。
ブリセットは「日本、ロシア、ヨーロッパなど、規模がそれほど大きくない市場では、無駄の少ないGMの構造を活用して、収益性の高いハイエンドの輸入車を販売することで、ニッチな存在感を追求していきます」と述べている。
GMはまた、タイの製造工場を中国の長城汽車に売却し、シボレーブランドのタイからの撤退を発表している。