【60年間の歴史に幕】「売り方」変えるホンダ 新型フィットで問われる「感性価値」の実力

公開 : 2020.02.19 17:50  更新 : 2021.10.09 23:55

新型ホンダ・フィットが2020年2月14日、日本国内での発売が開始。その4日後、四輪事業の開発を本社で一元管理する体制に移行することを決定。ホンダのクルマの「売り方」がどうかわるべきか考えます。

60年間のホンダ独自手法に幕

text:Kenji Momota(桃田健史)

新型フィットが2020年2月14日、日本国内での発売が開始された。

その4日後、ホンダに関する衝撃的なニュースが飛び込んできた。

新型ホンダ・フィット
新型ホンダ・フィット

ホンダは、四輪事業の開発を本社で一元管理する体制に移行することを決めた。

ホンダファンを除いて、一般的にはホンダがこれまで続けてきた他に類のない組織構造は知られていない。

いま(2020年)から60年前、1960年に始まった本田技術研究所。

ホンダ創業者の本田宗一郎は、本田技研工業(本社)と、本田技術研究所を分離することで、他社にはない独自性が高い研究開発を進めてきた。

これが、ホンダの強みだった。

だが、2000年代に入り、こうした分離構造が裏目に出るようになった。

研究所発のモノづくりは、開発者目線が優先するプロダクトアウト型。くだけた表現を使うと、ラーメン屋のおやじが「これがオレのイチオシだから、おいしいに決まってるだろ」といった感じだ。

ところが、スマホ時代になり、個人による情報のやり取りの幅が一気に広がると、世の中の消費行動は、プロダクトアウトとは真逆の、マーケットイン型にシフトした。

つまり、ユーザー目線、ディーラー目線が最優先となり、メーカーは企画、開発、販売の戦略を一元管理する必要が高まった。

そんなホンダ組織大変革の真っただ中で、新型フィットは生まれた。

大変な時に、なぜ「ここちよさ展」?

ホンダ関係者にとって仕事のやり方が大きく変わる時。

そんな時に、東京青山の本社1階ホンダウェルカムプラザ青山では「ここちよさ展」(2020年2月13日~3月14日)が開催中だ。

新型フィットの商品コンセプトで、ここちよさが重要なキーワードである。

「ここちよさ展」開催で最初の日曜日、2月16日の午前11時半に、ホンダ青山本社に一般客として行ってみた。

ホンダウェルカムプラザ青山は2020年1月18日にリニューアルオープン。広報部によると「2020年東京オリンピック・パラリンピック開催で、インバウンドが都心に訪れる機会も多くなることもあり、このタイミングで大規模な改装をしました」という。

クルマのショールームという雰囲気ではなく、カフェを拡充したくつろげる空間へと生まれ変わった。

1月には、新春初笑いイベント「ホンダ亭青山寄席」を開催。毒蝮三太夫、笑福亭鶴光、マギー司郎など大御所師匠が次々登場し、会場内は立ち見客が出るほどの大入り満員だった。

場の雰囲気が、昭和のお笑いでほどよくほぐれた後、真打ち「ここちよさ展」の登場だ。

聴覚、視覚、嗅覚、触覚、それぞれのコーナーで自分が気に入ったナンバー1、2を選び、その結果から「あなたにあったドリンク」を提供してもらうとの流れだ。

その結果は……。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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