【死ぬまでに一度は運転しておくべき?】最高の50台 一挙ご紹介 1位を発表
公開 : 2020.03.01 18:50 更新 : 2021.02.17 17:44
まるでカート
キーを廻して小さなゴム製のボタンを押し込むと、コクピットの後ろから爆音が弾ける。ターボのエンジンサウンドを批判するひとびとは、こうしたモデルを体験したことが無いのだ。
唸りを上げつつ弾けるような強烈なサウンドだが、まだアイドリング状態でしかない。もし、このクルマのルックスに刺激が足りないなどと思っても、このエンジンサウンドを聞けば十分だろう。
ワイドなボディに左ハンドルを組み合わせ、ごく限られた視界しか持たないこのクルマで市街地を走るのはまるで悪夢だ。
だが、すべての能力を解き放つには、まずエンジンとギアボックスオイルの温度を上げるための暖機運転を行う必要がある。
このクルマを象徴する精巧な作りの金属製スロットに収まるのは、ドッグレッグ式パターンを持つ5速マニュアルギアボックスだ。
例えそれほどスピードを上げずともF40のドライビングは素晴らしい。エンジンからは盛大なサウンドが聞こえてくるとともに、ステアリングからは常に路面の状況が伝わって来る。
マクラーレンF1よりも軽量なこのクルマは、その軽量さによってまるでカートのように感じられる。ラフェラーリもこのクルマと比べれば50%以上重いのだ。
野生のエンジン
そして、すべてがこのクルマのためにあるような状況がやってくる。
335サイズのピレリが強烈なトラクションを発揮してくれるお陰で、2速にシフトアップしてもまったく問題無い。
そして、ブースト計の針を激しく右側へと移動させるには3500rpmまで待つ必要があるが、そこからはまさに雄叫びと絶叫であり、ドライバーには迅速な反応が求められる。
この時代遅れの低圧縮エンジンは強烈なブーストを発揮するのであり、回せば回すほどにブースト圧は高まり、さらなる高回転を求めて来る。
タコメーターの針がさらに勢いを増して上昇するにつれ、F40のエグゾーストからは咆哮が聞こえ、ドライバーは思わず息をのむことになる。
7000rpmに達したところで、そのドッグレッグ式ギアボックスを真っ直ぐに引き下ろして3速へとシフトアップすると、ふたたび同じ狂乱がやって来る。そして、それが何度も繰り返されるのだ。
このエンジンはまさに野生のままだが、それでも常に高回転を保つことが出来れば、大人しくさせることは不可能でも、コントロールすることは出来る。
つまり、然るべき条件さえ整っていれば、このエンジンの神髄を味わうことが出来るということだ。