ロードテスト メルセデス・ベンツ GLS ★★★★★★★☆☆☆
公開 : 2020.02.22 11:50
結論
このほとんどためらいもなく拡大したクラスにおいて、Sクラスの卓越性を再現することは、これまでも興味深いチャレンジだった。
ホットハッチの美点を背の高いクロスオーバーに引き写せた例はめったにない。それと同じく、メルセデスの高名なサルーンにおける最大の特質、すなわちバツグンの乗り心地も、車高を引き上げたことで損なわれてしまった。
乗員を心から魅了するインテリアを得られなかったことも、表面上はすばらしいが、結局は最新のGLSがあまり目を引かないメルセデスになってしまった一因だ。
だからといって、このクルマがオーナーの人生を豊かなものにできないわけではない。直6ディーゼルは秀逸だし、キャビンは長距離ドライブにも十分な快適さと広さを備える。静粛性もみごとだ。高いドライビングポジションは、ドライバーに良好な視界を提供する。
そういった意味では、まずまずのオフロード性能も考え合わせると、GLSは販売面で十分な成功を収めると思われる。しかし、Sクラスほどにはライバルを悩ませないはずだ。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダース
メルセデスにとって、GLSは実に風変わりなフラッグシップSUVかもしれないが、実際にはそう呼べるポジションにはない。頂点の座は現行Gクラスに取って代わられているのだ。現代版ゲレンデは、GLSに欠けている独自性や本物感が満点だ。
サイモン・デイヴィス
このエンジンはおおむねすばらしいと思うのだが、アイドリングストップシステムは改善の余地がある。再始動はやや活発すぎ、エンジンを止めるのが早すぎることもある。
オプション追加のアドバイス
おすすめは中間グレードのプレミアムプラス。スマートフォンのミラーリングやインテリジェントLEDヘッドライト、サラウンドビューカメラなどが標準装備となる。悪路走行が多いなら、1495ポンド(約20.9万円)のオフロードエンジニアリングパッケージが役立つだろう。
改善してほしいポイント
・乗り心地をSクラスに近づけたいなら、英国仕様にもE-アクティブボディコントロールを設定すべきだ。
・ステアリングホイールのコントロール系をシンプルにしてもらいたい。現状のままでは不格好で、必要以上に使いにくい。