ロードテスト メルセデス・ベンツ GLS ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2020.02.22 11:50

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

GLSが、タフな大型SUVの生まれ故郷で製造されるのは、いかにもなことに思える。この新型も、従来モデルと同じくアラバマ州ヴァンスのタスカルーサ工場製だ。

この大幅に設計を更新したニューモデルは、現れると目の前に影が差すほど巨大だ。先代モデルより77mm長く、22mmワイドなサイズは、X7やレンジローバーといったライバルより広い面積を専有する。

プラットフォームは、後輪駆動セダンのそれと構造の多くを共有する。
プラットフォームは、後輪駆動セダンのそれと構造の多くを共有する。    OLGUN KORDAL

ボルボXC90のように大柄なクルマでも、横に並ぶと小さく見えてしまう。実際、GLSのホイールベースは、Sクラス・ロングより100mmも長いのだ。

英国の道路には大きすぎるのではないかと思えてくる。欧州車でこれより大きいものがほしいなら、ロールスロイス・カリナンを持ってくるしかない。ちなみにそのロールスのSUVは、次回のロードテストに登場するので乞うご期待。

オフローダーというより背の高いリムジンと呼ぶほうがふさわしいクルマの例に漏れず、GLSの構造はGクラスよりSクラスに近い。すなわち、シャシーはモノコックだ。

そのプラットフォームであるモジュラーハイアーキテクチャーは、CクラスEクラス/Sクラスに用いられるモジュラーリアアーキテクチャーと大部分が共通だ。

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクで、前後ともエアスプリングを装着する。それらのハードウェアをベースに、先進の自動運転技術も盛り込まれる。

今回のGLS 400d 4マチックの公称重量は2415kgで、先代比40kgの軽量化を果たしたことになる。この400dのパワートレインが、いまのところ英国では唯一の設定機種だ。今年末には、V8ツインターボを積むメルセデスAMGのGLS 63の投入が予定されている。

その400dのエンジンは、ステップドボウル燃焼プロセスを採用した2925cc直6ツインターボディーゼル。メルセデスの多くの車種に搭載されているユニットで、レスポンスと洗練性はなかなかのものだ。

最高出力は331ps、最大トルクは71.3kg-mで、メルセデス内製の9速ATを組み合わせることで、これまでにないほどのバーサタイルさを発揮する。

先代GLSの駆動系は前後トルク配分が50:50の固定式だったが、今回は可変式となっている。オンロードではよりスイートなドライバビリティを生む後輪駆動がデフォルトだが、センターデフが前輪へ最大50%の駆動力を分配する。

主なオプションはふたつある。ひとつはテスト車にも装着されていたオフロードエンジニアリングパッケージで、トランスミッションのローレンジやオフロード向けABS、センターデフロックがセットとなっている。

もう一つはE-アクティブボディコントロールで、2基のステレオカメラを用いて路面をスキャンし、ダンパー設定を最適化するのだが、これはいくつかの理由から英国未導入となっている。

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