ロードテスト メルセデス・ベンツ GLS ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2020.02.22 11:50

走り ★★★★★★★★★☆

走りのさまざまな点において、GLSがその巨体のサイズや重量をどの程度カバーできているのかと問われたならば、アカシアの幹がカバの身を覆い隠せる程度に、と答えておこう。とはいえ、このクルマが只者ではなかったことも付け加えておきたい。

実測2.6tのウェイトは、いかなるエンジンにとっても重荷だろう。ところがGLSの2.9L直6ツインターボディーゼルは、トン当たり29kg-mを超えるトルクをたった1200rpmから発生するのだ。

GLSの2.9L直6ツインターボディーゼルは、トン当たり29kg-mを超えるトルクをたった1200rpmから発生する。
GLSの2.9L直6ツインターボディーゼルは、トン当たり29kg-mを超えるトルクをたった1200rpmから発生する。    OLGUN KORDAL

結果、GLS 400dは思いのほか速く運転しやすい。スムースさや洗練性も同様だ。

初期のスロットルレスポンスは抑えられている。牽引やオフロードに使うこともある、大きく重いクルマに望まれるとおりだ。だが、走り出しても動きたがらないようなことはない。

全開にすればたったの6.5秒で97km/hに達し、48-113km/hはほんの6秒フラット。だいたい、フォードフィエスタSTと同じレベルだ。

しかし、純粋な速さ以上にみごとなのが、エンジンとトランスミッションがいかに快活で静かに、そしてすなおに日常使いできるかという点だ。

ディーゼルながら、この6気筒には全域において、遠くのほうでよくしつけられたエンジンが回っている印象を受ける。レスポンスがよくパワフルでもある。

3500rpmを超えると、それまでよりノイズやメカの作動ぶりが伝わってくるようになる。それでも、粗野な感じではない。

また、9速のトルコンATは適切なギアを適切なタイミングで巧みに選択してくれる。そのため、このサイズでも遠慮なく運転できる程度のペースなら、走りは活発だ。

オフロード走行では、念入りにチューニングされたペダルレスポンスの進化が際立つ。というのも、泥道や傾斜の上り下りでも、推進力をコントロールするのが非常に楽なのだ。

ブレーキペダルのチューニングは実にプログレッシブで、どんな走行状況でもスムースにストップするのが容易。ただし、思い切り踏み込んでみると驚くほどトラベルが長い。また、急ブレーキではわずかにうろたえるようなフィールがある。

ただし、113km/hから2.6tの巨体を完全静止させるまでに要する距離は46m以下。路面の湿った寒い日でもこの数字ということは、制動力に不足はないだろうと思われる。

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