ロードテスト メルセデス・ベンツ GLS ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2020.02.22 11:50

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

そのサイズや重量から逃れるすべはないものの、英国の路上では公園の池に浮かんだタンカーのように身動きがとれないのではないかという想像は正しくない。

その一因は高いドライビングポジション。周囲を見下ろす視点により、車線の中で望む位置を通し続けることはそこそこ難しくない。もっとも、その車線に十分な広さがあれば、という話だが。

グリップは、絶対的とはいえないまでも良好で、おおむね最新の2.6tの高級SUVに期待するレベルだ。
グリップは、絶対的とはいえないまでも良好で、おおむね最新の2.6tの高級SUVに期待するレベルだ。    OLGUN KORDAL

街なかでは、その高い目線が非常に役立つ。たしかに、タイトな駐車場や狭い路地ではそれも取り回しの役には立たず、サイズの大きさを思い知らされるはず。四輪操舵が装備されていれば、と思うこともあるだろう。

だが、ロックトウロック2.8回転というステアリングは、ギア比が賢明な上に精確で、軽くて扱いやすい。その助けもあって、なかなか整ってレスポンスに優れたハンドリングは、交通の流れに乗り、都市部のジャンクションを抜けるのが、少なくともそのサイズから想像するよりは多少なりとも楽だ。

ところが、空いた道でペースを上げると、ただ流しているぶんには直観的で扱いやすいままだが、ハンドリングへの重量の影響を十分にカバーできない。

ステアリングレスポンスは、目に見えてよりゆったりしたものとなる。飛ばすほどに、ボディのロール量も目立ってくる。また、舵角が増すにつれてややゴムっぽい感触が高まるところもある。

それでもステアリングのリニアさが、不動のスタビリティや限界域での予測しやすいハンドリングの心強さを確かなものにしてくれる。

グリップは、絶対的とはいえないまでも良好で、おおむね最新の2.6tの高級SUVに期待するレベルだ。思い切りハードにプッシュすると、GLSの285幅のフロントタイヤは、まずラインから外れはじめ、シャシーは徐々に穏やかなアンダーステアに寄っていく。

その時点で、好ましいチューンのESCシステムがうまく介入して、事態を収束させる。そのため、センターラインを踏んだことに気づかない場合も少なくないのではないだろうか。

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