【AMG CLA35とガチンコ勝負】BMW 2シリーズ M235i xドライブ・グランクーペへ試乗
公開 : 2020.02.23 10:20 更新 : 2020.02.23 11:39
強力な2.0Lエンジンとトラクション
エンジンをスタートすると、威勢よく破裂音も混ざったサウンドを鳴らす。走り出すと、このエンジンが発するエグゾーストノートの中で、最も刺激的なものだとわかった。
6気筒エンジンを積んでいた1シリーズの魅了する音響は再現できなかったとしても、4気筒エンジンも充分力強いサウンドを放つ。一部に合成音も混ざり、回転数を上げるとボリュームも大きくなる。だが、美しい旋律ではない。
排気量が小さくなったエンジンのデキは良い。2.0Lから45.8kg-mの最大トルクを、1750rpmという低回転域で発生させる。素早く変速する8速ATが、知的にシームレスに速度を乗せていく。
2000rpm以下では少しのターボラグも感じるが、マニュアルモードで高すぎるギアを選んだ時くらい。パフォーマンスはスペック通りに力強く、6600rpmまで、ためらうことなく綺麗に吹け上がる。
試乗したポルトガルは、あいにくの雨模様。そのかわり、M235i xドライブ・グランクーペが持つ驚くほどのトラクションを濡れた路面で確かめる機会となった。
リアに電子制御の機械式クラッチを搭載する4輪駆動システムは、ビスカスカップリングより素早く駆動力を伝える。BMW i3にも採用されている、直接エンジンの回転数を制御するARBと呼ばれる電子制御システムも搭載する。
基本的にM235iは前輪駆動で走行し、機械的なエネルギーロスを減らし、燃費を向上。必要に応じて瞬時に4輪駆動へと切り替わるため、滑りやすいコーナーでもラインを外すことはほとんど不可能といえるレベルにある。
ハイライトは感触豊かなステアリング
xドライブ・によって、前輪駆動の220dでは路面へうまくパワーを伝えきれなかった環境でも、優れたグリップ力を見せつける。ただし、リミテッド・スリップデフを介さず、リアタイヤへ伝えられるトルクは最大で50%。後輪駆動のようには走らない。
M235iを限界領域まで攻め込んでも、アクセルペダルを少し戻してラインを内側に戻す程度のことしかできない。低速域では後輪駆動の先代よりアンダーステアを抑えられるが、グリップとスリップとの境界を探りながら、スリリングさを味わうことは難しい。
一方でステアリングはM235i xドライブ・グランクーペのハイライト。重み付けも良く、手のひらに伝わる情報量は、BMWのパワフルな後輪駆動モデルたちより豊富。前輪へ伝わるトルクによるフィーリングの悪化も最小限だった。
意図的に前輪駆動感は弱められつつ、ステアリングのレスポンスは鋭い。FAARのシャシーエンジニアによれば、前輪と後輪との反応速度を一致させることを、重要な目標としていたそうだ。
ブレーキも素晴らしい。標準で18インチとなるホイールに収まる一杯の、大きな4ポッドキャリパーとディスクがしっかり速度を受け止めてくれる。
ハッチバックのM135iと比べるとサスペンションは柔らかいとはいえ、M235iの乗り心地はまだ引き締まっている方。試乗車には500ポンド(7万円)のオプションとなるアダプティブダンパーが装備され、コンフォート・モードではしなやかだった。