【どちらを選ぶべき?】メルセデスAMG A 45 Sの新車 vs 日産GT-Rの中古車 前編

公開 : 2020.03.14 09:45

大きなミス

そして、最高時速315km/hをうたう日産GT-Rにもウイングは装着されている。

ロードテストエディターのマット・ソーンダースは、A 45の購入を考えるひとびとに、悩ましい課題を突き付けるべく、GT-Rとの対決を企画したのだ。

ツインテールライトは1972年以来の伝統だ。
ツインテールライトは1972年以来の伝統だ。

2007年にR35世代のGT-Rが登場した時、日産はバカバカしいほど慎ましやかな価格設定を行うという、忘れがたい大きなミスを犯している。

5万6000ポンドというその価格は、同じようなパフォーマンスや血統を持つライバルたちを何光年も置き去りにするほど安価なものであり、このバーゲンプライスによって、日産が誇るこのゴジラはその偉大なジャイアントキラーとしての名声をさらに高めることとなった。

そして自らの過ちに気付いた日産は、以降徐々にGT-Rの価格を引き上げている。

いまや新車のサーキット向けモデル、ニスモバージョンであればその価格は17万5000ポンド(2527万円)にも達しているのだ。

だが、ほぼ使用歴の無いフェイスリフト後の個体を、新車のA 45 Sとほぼ同じくらいの価格で手に入れることが可能であり、だからこそ今回の対決を思い付いたのだ。

ジャイアントキラーとして、心からハッチバックを欲しいと思うのだろうか? それとも、こんな比較をすること自体間違っているのだろうか?

多くのひとびとがGT-Rの古さを気にするだろう。

最近地元警察がパトカーに採用したこのクルマは、栃木県にある日産の工場で創り出されており、現行GT-Rの設計年次の古さはそのインテリアを見れば一目瞭然だろう。

ランエボの末裔

一方で、こうした歳月もGT-Rの路上におけるプレゼンスをいささかも弱めてはおらず、パフォーマンスの面でこのクルマに勝るモデルを考え出すのは未だに難しい。

2017年モデルのGT-Rは、その3.8LツインターボV6エンジンから570psのパワーと65.0kg-mのトルクを発揮しており、ボルグワーナー製ツインクラッチ6速ギアボックスと日産のATTESA E-TSを介して路面へと伝達される。

耐久性に優れたV6は手を入れれば途轍もないパワーを発揮させることが出来る。
耐久性に優れたV6は手を入れれば途轍もないパワーを発揮させることが出来る。

2本の長いプロペラシャフトを持つこのシステムは、明らかにリア偏重のセッティングだが、必要に応じて50対50のトルク配分が可能であり、いくつかの地域においては依然としてジェット燃料を使用したマシンを除く最速の地位を保っている。

よりソフトなサスペンションと遮音性を手に入れた最近のGT-Rはより「GT」に近いモデルと言えるかも知れないが、盛大なロードノイズを発するダンロップ製タイヤを履いていた今回の個体は、依然としてダイレクトな生々しい感触を伝えて来る。

そして、その感触はより新しいメルセデスAMG C63 Sのオーナーたちをも嫉妬させるかも知れないほどだ。

それでも、この個体を販売している世界的に有名なGT-Rのスペシャリスト、リッチフィールドではダンロップ製タイヤをミシュランが誇るパイロットスポーツ4Sに交換することが多いと言う。

一方の明るいサンイエローに塗られたこの小さなA 45 Sは、その強力なエネルギーによって、まさに4つのタイヤを履いた核融合とでも言える存在だ。

コンパクトなボディにわずか2Lの排気量から422psを発揮するハンドビルドのAMG製クローズドデッキエンジンを積んで、四輪駆動システムを備えたこのクルマは、かつての三菱ランサー・エボリューションの末裔とも言うべき存在だ。

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