【ハンドリングの真実】限界性能とは無関係? 評価はシンプル 後編
公開 : 2020.03.15 18:50
ただひとつのルール
そして、スリップアングルが増えるにつれてドリフトの状態が変化するよりも、一定のペースでドリフトが進行するようなモデルのほうが、よりドライビングを楽しむことが出来る。
フロントエンジンのモデルよりもミッドシップの方がドリフト状態へと早く移行する傾向があるが、そのペースがコントロール出来ていれば、決して問題とはならないだろう。
実際、30年に及ぶ英国ベストドライバーズカー選手権では、ミッドシップがフロントとリアにエンジンを積んだモデルよりも数多くの勝利を上げている。
一旦ドリフトの状態をコントロールすることが出来れば(サーキットを想定した話だ)、ドライバーには姿勢を立て直すか、維持するか、それともさらにこの状態を楽しむかの選択肢が与えられることになる。
そしてもしドライバーが姿勢の回復を選択すれば、ステアリングとタイヤ、そしてサスペンションを上手くコントロールすることで、過度なボディの動きを抑制することも可能だ。
今回は個人的にロードモデルのハンドリングに望むことの一端をご紹介させて頂いた。
だが、最後にもう一度、もっとも重要なただひとつのルールを改めてご紹介させて頂こう。
価格やパワー、サイズ、そしてカテゴリーに関係なく、ドライバーの意志と予測に応じた挙動を示すことが出来れば、そのクルマのハンドリングは素晴らしい。
そして、それが出来なければ、そのハンドリングは褒められたものではない。
ハンドリングとはこれだけのことなのだ。
番外編1:偉大なハンドリングマシン5選
シトロエン2CV6
素晴らしくコミュニケーション能力に優れたサスペンションと、水平対向エンジンがもたらす低重心により、大きなロールを伴いながらも信じられないほど見事なハンドリングを見せた。
フェラーリ・ディーノ246GT
史上初のミッドエンジンモデルではないが、見事なステアリングと適度なグリップによって、限界を超えてもコントロール可能な初めてのモデルだった。
パンサー・ソロ
多くの問題を抱えながらも、いま思えば史上初となる四輪駆動システムとミッドエンジンレイアウトの組み合わせが、驚くべきバランスと見事なハンドリングを実現していた。
ケーターハム・セブン
60年以上に渡りケーターハムと彼らが創り出すロータス7の後継者たちは、ハンドリングに関して、軽量であること以上の武器は無いことを証明してきた。
ポルシェ911
リアエンジンのドライビングスタイルを知らないひとびとに汚名を着せられて来た初期のモデルでさえ素晴らしい。
スローイン・ファーストアウトの原則さえ守れば、911は驚くべきハンドリングを味わわせてくれる。