濡れた路面では隠せない前輪駆動

クルージング時の洗練性は良好。流れの速い高速道路の速度でも、遮音性は高く、フレームレスドアにも関わらず、風切り音の侵入もほぼなかった。

そこから強く攻め込んでいくと、220dの弱点が見えてくる。ひどく濡れた路面では、グランクーペが前輪駆動であることを隠しきれない。

BMW i3由来の、電子制御トラクション・システムも搭載。アンダーステアに対抗する機能を誇りにしているグランクーペだが、その効用は限られる。低速域から強く加速させようとすると、フロントタイヤはトラクションを失う。

太いトルクがステアリングに影響を及ぼすようなことはないものの、控えめな加速時であっても、スタビリティ・コントロールは厳しく介入。フロントタイヤが外側に逃げていくのを防いでいることが伝わってくる。

後輪駆動のBMWであっても、同じ濡れた状況ならグリップを得るのに苦労したかもしれない。だが、ドライバーはその状況を楽しめたはず。

もちろん、一般的な2シリーズ・グランクーペの購入層にとって、限界領域でのハンドリングは優先順位の低い事項になると思う。ルーフラインの美しいコンパクト・サルーンには、まだまだ気に入る要素はたくさんある。

インテリアは印象的なほどに上質に設えられ、価格帯にしては装備も充実している。スイッチ類や内装の部品などは、上位モデルと共有している点が嬉しい。

優れた2つの才能を1つのボディに

ドライビングポジションの調整幅は大きい。リアシートは、さすがに頭上空間が狭く感じられるものの、ボディサイズを考えれば実用的なレベルにある。

BMWによれば、英国ではエントリーグレードの218iが最も高い人気を獲得すると考えているようだ。スポーティなドライビングフィール以上に、エレガントな見た目に見合う現実的な評価として、バランスが取れるグレードなのだろう。

この220dも、市場で最も優れた4気筒ディーゼルエンジンを獲得したことで、確固とした存在感を持っている。0-100km/h加速は8秒を切る素早さと、20km/Lに迫る燃費を叶えた優しさを持ち合わせている。優れた2つの才能を、ちゃんと1つのボディに収めている。

ここで気になってくるのが、ライバルとなるメルセデス・ベンツCLA220dとの比較。コンパクト4ドアクーペというカテゴリーでは輝きの強い1台でもあり、よりエレガントな選択肢でもあるのだった。

BMW 220dグランクーペのスペック

価格：3万3855ポンド（484万円）
全長：4540mm
全幅：1800mm
全高：1430mm
最高速度：234km/h
0-100km/h加速：7.5秒
燃費：18.7-20.3km/L
CO2排出量：110g/km
乾燥重量：1505kg
パワートレイン：直列4気筒1998ccターボチャージャー
使用燃料：軽油
最高出力：189ps/4000rpm
最大トルク：40.7kg-m/1750-2500rpm
ギアボックス：8速オートマティック

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