【TVRでグッドウッドに初参戦】アーティストのレースデビュー 後編

公開 : 2020.03.08 16:50  更新 : 2021.02.17 17:44

ポルシェ911とMGBとの順位争い

「落ち着くように自分に言い聞かせながら、最終的にはポルシェ911を追い越し、マッジウィックでインを刺して、5位に戻しました」 これに自信をつけたレイゼルは、さらに4位を狙う。

「再びマッジウィックでインを突いて追い越しますが、コーナー出口での速度が乗りません。先のストレートで後ろに挽回されました。5位のクルマは逆側から追い越しをかけてきて、ヒットしそうになりました」

ティム・レイゼルが描いた今回のレースシーン
ティム・レイゼルが描いた今回のレースシーン

芝生の上でグランチュラXPG 1のドアを開いて、レースを終えたレイゼル。「次のレースでは、もっとリラックスして戦おうと決めました。マークは遥かに速かったですが、何とか彼を追い越せました」

レイゼルは26台が参加したグッドウッドでのデビュー戦で、5位に入ったことに喜んでいる。「友人はTVRへの強すぎる思いに冗談をいいます。でもTVRが故障したのは、これまで1度だけ。消耗品のオルタネーターです」

「グッドウッドでの結果は、これまで長年TVRを大事にしてきたことが、報われるものだと思います」 TVRグランチュラXPG 1のレースカーとしての完成度にも、改めて感心したようだ。

「挙動は驚くほどニュートラルで、しっかり運転すれば、常に信じられないほどバランスに優れています。パワーが足りないぶんを、シャシーが補えている感じです」

「マッジウィックは手強いコーナーで、緊張が強いられます。右コーナーでエイペックスが2カ所にあり、長く続くように感じます。TVRの場合、速度を保たなければなりませんが、それが難しいのです。4輪ドリフトをきれいに決めると、達成感は素晴らしいですよ」

グッドウッドは家族にとって特別な場所

フォードウォーターを高速で抜けてそのまま、セントメアリー・コーナーでドリフトしていくシーンは、息を呑む瞬間です。これはわたしが何度も作品に描いていた場面。このセクションは、ドライバーの腕が試されるところです」

レイゼルは2020年シーズンに向けて計画を立てている。「本当は、ル・マン・クラシックやスパ・フランコルシャンでのエクイップGTSなどにも参戦したいのですが、参加できるクルマがないんです」

TVRグランチュラXPG 1とティム・レイゼル
TVRグランチュラXPG 1とティム・レイゼル

実はレイゼルとグッドウッド・サーキットとのつながりは、サーキットが完成する以前からあった。「父は1942年に、戦闘機のスピットファイアの整備士として、ウェストハムネット空軍基地に配属されていました」 この基地は、今のグッドウッド・サーキットの元になった場所だ。

「初めて開かれたリバイバルは、戦闘機パイロットのレイ・ハンナのデモ飛行があり、とても特別なものでした。初めてフェスティバル・オブ・スピードへ出展したのは15才。それ以来、毎回訪れています」

取材の日、1週間を過ぎても、まだグッドウッド・リバイバルでの体験から熱が冷めない様子のレイゼル。「妻や子供を含めて、家族もとても良いサポートをしてくれました」

「これまでで一番素晴らしい1日になりました。幼馴染の友人にも観戦してもらえて、一層特別な1日になりました。私にとって、本当に特別な場所なんです」

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