【新車発表に異変?】ネット中継でユーザー参加型に注目集まる ディーラー/メディア、求められる変化

公開 : 2020.02.28 12:17  更新 : 2021.10.09 23:55

「日産ルークス発表会 開催方法の変更」。2020年2月21日、日産グローバルコミュニケーション本部からメディア関係者にメールが。緊急事態により結果的に、メーカーからユーザーに対する情報発信のあり方について新たなる可能性が見えてきました。

新型車の発表会 開催4日前の決断

text:Kenji Momota(桃田健史)

緊急事態によって結果的に、メーカーからユーザーに対する情報発信のあり方について新たなる可能性が見えてきた。

2020年2月21日、日産グローバルコミュニケーション本部からメディア関係者にメールが届いた。

新型日産ルークス
新型日産ルークス

表題は、「新型日産ルークス発表披露会 開催方法の変更について」

新型コロナウイルス感染症の国内感染拡大リスクを考慮し、2月25日午前10時から日産グローバル本社(神奈川県横浜市)で行う予定だった発表披露会を、インターネット中継のみにするとした。

この時点では、政府から新型コロナウイルスに関連して、国内イベント等への自粛に対する方針は定まっておらず、日産としては早い段階で対応を決断したものといえる。

筆者(桃田健史)は、2月25日の午前中、長距離を列車で移動しており、新型ルークス発表披露会のインターネット中継全編を、手元のスマートフォンでリアルタイムで視聴した。

冒頭、執行役副社長の星野朝子氏は「諸般の事情を鑑み、日産として本邦初のインターネットでの発表会とさせていただきます」と挨拶した。

次いで商品企画担当者が説明した後、司会進行の女性が実車を使って、エクステリアデザイナー、インテリアデザイナー、そしてチーフエンジニアと会話形式で新型ルークスの説明をした。

キーポイントとなったのはこの後の出来事だ。

「メディア6:ユーザー3」 今後の課題は

インターネット発表披露会の最後は、質疑応答となった。

中継の中、司会者が質問については「メディア関係者は事前にご案内しておりますメールアドレスに、一般の皆様はユーチューブのチャット欄にコメントをお願いします」と案内した。

質疑応答ではメディアから6つ、ユーザーから3つ、合計9つの質問を紹介した。

一般的に、新車発表関連の記者会見での質疑応答は、メディア側が「質問に関する前提としての事実確認など」が長くなり、限られた時間のなかで質疑応答を進めることが難しい場合も多い。

そうした観点では、インターネット中継による質疑応答が効率的に行われ、またユーザーの生の声が中継にのったことは、今後の新車発表のあり方に大きな影響を与えたと思う。

他方、主催者側が事前に質問を見て、主催者側にとって都合が悪い内容には対応しないという可能性も考えされる。

対応策としては、すべての質問の内容をインターネット中継参加者に透明化することだ。

最近開催されている各種シンポジウムなどで使用されている、質疑応答用のソフトウエアを使う方法だ。

すべての質問が投稿順に会場内の画面に映し出され、その質問の相乗りする人はチェックを入れることで、質問の要求度合いが会場内でひと目でわかる。

こうした方式はユーザー向けに採用可能だと思う。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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