ロードテスト ロールス・ロイス・カリナン ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2020.03.01 11:50 更新 : 2020.03.08 03:15
結論 ★★★★★★★★☆☆
大多数にとって、ロールス・ロイス・カリナン・ブラックバッジは度の過ぎた常識破りと思えるかもしれない。しかし、ロールス・ロイスのラインナップに万能性と使い勝手を付け足すものであることも事実だ。どちらにせよ、変化をもたらすものだ。
しかもそれは、上品で上流階級的な走りを失うことなく成し遂げられた。そのため、このとてつもない高級車にとってのセールスポイントはパワフルなままだ。その違いに、ほとんどのオーナーは気付くだろう。であるから、肝心なところはうまくいっている。
少しの間、ロールスのオーナーになったつもりで考えてみよう。ハートフォードシャーの屋敷にはファントムが、モンテカルロにはレイスがあるとしたら、カリナンは砂漠かスキー場のロッジにでも置いておこうとすぐに想像できるはずだ。それなら、このクルマを存分に使い倒せる。
オーナーたちの要望に応えて、ロールス・ロイスは世界レベルの高級SUVを生み出した。そして、ブラックバッジ仕様は、よほどの金持ち以外には訴求できないだろう。
担当テスターのアドバイス
リチャード・レーン
ボタンひとつで閉まる電動ドアは、最近のロールスの特徴的な装備だ。ただし、モーターのパワー不足により、ちょっとした坂道に停めると正常に働いてくれない。閉まりきらずに、重力でまた開いてしまうのにはガッカリだ。
サイモン・デイヴィス
ブラックバッジがブレーキの効きはじめを手前に寄せ、ペダルのトラベルを短縮したのは正解だったのだろうか。飛ばしている時はいいのだが、街乗りで停止する際にはスムースでないことがある。あるべき姿より上品さに欠けるのだ。
オプション追加のアドバイス
・ファントム譲りの毛足が長いフロアマットは、見栄えも感触もファンタスティック。ただ、泥だらけの靴で踏むようなものではない。そんなときは、脱いで乗りたくなる。少なくとも、われわれはそうだ。
・後席2座の4人乗り仕様はリセールに悪影響を与えるはず。左右にはリクライニングが付くので、5座を選ばない理由はない。
改善してほしいポイント
・セカンダリーライドのクオリティ改善を。とくに街乗りでのそれを。
・インフォテインメントシステムは、アップデートの必要あり。
・もう少し見栄えがよければ…。