【ディフェンダーとレンジの2役】ランドローバーを救ったディスカバリー 前編
公開 : 2020.03.14 07:50 更新 : 2021.02.02 12:38
ディフェンダーとレンジローバーの間を埋める
レンジローバーが誕生したのは1970年。当初は車高の高いクーペのような2ドアスタイルで、4輪ともにディスクブレーキを装備。サスペンションは優れた快適性をもたらすコイルスプリングを採用し、豪華さを高めている。駆動方式はもちろん、フルタイムの4輪駆動だ。
1980年代後半まで改良は先送りされたレンジローバー。並行して進められたディスカバリーの開発の方が、積極的に進められた。結果として優れた完成度を獲得し、大きな成功へとつながった。
ディスカバリーの開発当初はプロジェクト・ジェイと呼ばれ、1986年にスタート。ディフェンダーとレンジローバーとの間にあった、大きなモデルギャップを埋めるモデルとして考案さられた。
1987年に量産化が決定。ハイランダーとプレーリーローバーという車名案もあったが、却下される。その後3年も経たないうちに、ディスカバリーという名前を得て登場。英国市民やマスコミに大きな波を起こすことになる。
1989年のアールズコート(ロンドン)・モーターフェアで発表された初代ディスカバリー。ランドローバーとしては20年ぶりの新モデルとなった。
風変わりな段付きルーフの付いたモデルの横に立った、テレビ番組トップギアの当時のプレゼンター、クリス・ゴフィーは「古いタルボ・ランチョを思い出させるカタチです」 とコメントしている。
ライフスタイルを想起させるクルマ
一方の、長く生産されていた初代レンジローバー。モデルチェンジを受けるのは、ディスカバリー登場の5年後となった。
初代レンジローバーのように、ディスカバリーも当初は2ドアのボディスタイルのみで提供された。リアハッチも含めれば3ドア。だが、4ドアボディも当初から計画されていた。
ジャガー・ランドローバーの歴史研究をするマイケル・ビショップによれば、狙った通りの印象を与え、正しく認識してもらうためのアイデアだったようだ。「クーペと同じように、ライフスタイルを想起させる製品として受け止められたかったのでしょう。正しい考えだと思います」
「ディフェンダーの20年前に登場した初期の2ドア・レンジローバーも、ライバルのいない空白セグメントに登場したクルマでした。そんなクルマを作っているメーカーは、当時ありませんでした」
「ランドローバー社は、高級に進化させた、紳士のオフロード・スポーツカーを思いついたのです。本来は実用的なクルマでしたが、着飾ってディナーにも出かけられるクルマでした」
ディスカバリーはレンジローバーと同じくらい洗練され、堅牢で、価格は半分が目指された。背筋を正したコマンドポジションの姿勢を取る快適なフロントシートに、後半部分が持ち上げられたルーフライン。ルーフサイドのアルパイン・ウインドウと、ツイン・サンルーフが高い空を感じさせてくれる。
続きは後編にて。