【究極のメガーヌ対決】 R26R vs 275トロフィーR vs トロフィーRニュルブルクリンク・レコード・エディション 後編
公開 : 2020.03.29 08:50 更新 : 2021.03.05 21:34
ルノーが誇るハードコアなメガーヌ3世代を乗り比べてみました。R26Rに端を発するこのシリーズですが、古いモデルよりも新しいメガーヌの方が優れているのでしょうか? それぞれがニュルブルクリンク最速FF量産モデルに君臨したなかでも特別な1台を見つけ出します。
ポルシェGTシリーズとの類似点
もちろん、275トロフィーRとGT2 RSとは違う。
この2台の間には431psものパワーの差があるが、一方で究極のメガーヌとポルシェのGTモデルの間には類似点も存在している。
もっともパワフルなGT2 RS同様、もっとも過激な最新のメガーヌ300トロフィーRも、この3台のなかで最高の速さとハードコアさを誇ることに疑いの余地はないだろう。
このクルマも他の2台のメガーヌと同じコンセプトを引き続き採用している。
リアシートを取り払うことで軽量化を図っているものの、スタンダードモデルからパワーは引き上げられていない。
今回もっとも軽量化に貢献したのが、スタンダードな300トロフィーの予想不能なハンドリングの元凶となっていたリアのアクティブステアリングを撤去したことだ。
お陰でドライバーはすべてのステアリング操作にいかにこのクルマが反応し、まるで20ペンス硬貨をなぞるかの様にコーナーをクリアしていく様子に驚かされるに違いない。
だが、このクルマを手に入れる為には大量の20ペンス硬貨が必要だ。
もしかしたら、ルノーは比較的好調だった275トロフィーRのセールスに勇気づけられたのかも知れない。
他の誰よりも個人的に300トロフィーRを高く評価しており、このクルマの内容を考えれば、5万1140ポンド(706万円)という価格も十分納得出来るものだと考えている。
レコードパック仕様の価値
だが、カーボンファイバー製ホイールとカーボンセラミックブレーキ、さらにはエアスクープ付きボンネットを備えたニュルブルクリンク・レコードパックであれば、その価格はさらに7万2140ポンド(995万円)へと跳ね上がる。
では、このクルマにはこれほどの価格に見合った価値はあるのだろうか?
こうした特別な装備がなくともこのクルマに対する評価は変わらないのであり、同じ道を舞台にスタンダードモデルとの比較を行わない限り、カーボン製ホイールとブレーキがもたらす乗り味の違いを感じることは難しいだろう。
だが、こうした装備なくして、このクルマの速さが実現しないことも事実なのだ。
英国に割り当てられた300トロフィーRはわずか32台に過ぎず、そのうち2台のみがレコードパック仕様となる。
いずれにせよ、このクルマは驚くべき速さを発揮する。
ニュルのラップタイムは7分45秒にまで短縮されているが、直線での速さを比べると、275と300の差は、R26Rと275の差と同じくらいあるように思える。
レッドラインまで強烈な速さで達するため、まるでクラッチが滑っているかのようであり、激しいインテークサウンドと、275よりは控え目なエグゾーストノートを奏でるこのクルマは、やはり275よりも大きく重たくモデルだと感じさせる。
そして、300はより洗練された方法でその驚異的な機動性を実現している。