【コーチビルドが開く新時代】ベントレー・バカラル 手作業による至高の12台
公開 : 2020.03.03 18:15 更新 : 2020.03.04 08:28
コーチビルド・モデルの需要の高まり
バカラルに搭載されるエンジンは、ベントレー自慢の6.0L W12気筒エンジンで、最高出力は659ps。標準的なW12エンジンより41psほどパワーアップしている。
最大トルクも91.6kg-mにまで引き上げられた。0-100km/h加速は3.5秒でこなし、最高速度は320km/h以上となる。
バカラルは、マリナー部門にとって本格始動も意味している。ベントレー・マリナーを率いるティム・ハニングはこう説明する。「お客様に満足していただく、最大の未開拓領域の1つです」
つまり、マリナーの3本柱として、マリナー・クラシック、マリナー・コレクションズ、マリナー・コーチビルドがあるのだ。
マリナー・クラシックは、1939年製ベントレー・コーニッシュの再生と、バーキン・ブロワーの後継シリーズなどで、2019年に活動をスタートさせている。マリナー・コレクションズは、最近発表となった特注のコンチネンタルGTマリナー・コンバーチブルなどが対象。
マリナー・コーチビルドは、独自モデルのバカラルを生み出した。「コーチビルド・モデルの開発を始める必要がありました。マリナー部門の本質です。バカラルとブロワーは、いわば、われわれの出発地点です」
「このようなクルマへの需要はかなり高いのです。多くの人々から、なぜもっと早くこのようなクルマを手がけなかったのか、と聞かれるほど」 と語るハニング。
将来のコーチビルドに対してこう続けた。「バカラルには、ドライビングの至高感があります。そこへ、究極の快適さも与えることができます。下品にはしたくありません。最速のクルマというわけでもありません」
手作りなら多くても12台が限界
「量産モデルより、遥かに機敏なバカラルを一般道で目撃できるでしょう。これは、今後に続く最初のクルマ。現代のコーチビルドのスピード感は増していきます。作り出す台数によって、内容も異なります」
「お客様が1台か2台のクルマをご希望されれば、価格は高くなります。ですが、お請けできます。すべてを手作りで仕上げる場合、多くても10台や12台が限界でもあります。バカラルのように」
番外編:ベントレーの電動化計画
ベントレーのデザインチームは、2025年の発表を予定するEVのデザインを検討し始めている。昨年発表されたベントレーEXP 100 GTコンセプトはEVだった。そして量産EVのデザインを進めている。
ベントレーでデザインディレクターを努めるステファン・シエラフは、次のように答えてくれた。「現在、EVの実験的なデザインを進めている段階です。現代的で飛躍的なEVの創造に強い関心を寄せています」
「常にベントレーである必要があります。ですが、EVのプロポーションは(内燃エンジン・モデルとは)異なるでしょう。タイカンの見た目は、しっかりポルシェですよね」
「テスラは、ドラマチックさに欠けています。BMW i3はデザイナーとして素晴らしいと感じますが、顧客の多くは美しいとは感じていません」
「より高い視点から、勇敢に取り組む必要があります。市場に姿を表すのなら、正しい存在であることが求められます。ベントレーのブランド・アイデンティティ、特徴はとても有効に働きます」
ベントレーのCEO、エイドリアン・ホールマークは以前、EVの設計を「とても急いでいる」と話していた。それを裏付ける技術は、2025年までお預けとなるのだろう。