【家族との再会】初代メルセデス・ベンツAクラス(W168型) ふたたびの邂逅 後編
公開 : 2020.03.18 14:20 更新 : 2020.03.18 15:44
この先10年はともに
その後数年を掛けて、メルセデスではこの個体をオリジナルコンディションへとレストアしているが、もっとも困難だったのは、そこら中に染み付いたラブラドールレトリーバーの臭いを完全に取り除くことだったに違いない。
このクルマは新型Aクラスが発表される度に展示され、時にはモータージャーナリストに貸し出されることもあった。
だが、昨年ついにメルセデスはこのクルマの役目が終わったと判断し、ふたたび手放すことにしたのだ。
このクルマを取り戻したかった?
答えは明らかにノーだ。
すでに家族用のクルマがあり、例えこのAクラスがいまや大きくなった子どもたちの足替わりになったとしても、エアコンもなければ、スマートフォンを接続することも出来ないこのクルマに彼らが興味を示すようなことはなかった。
このAクラスか、バスのチケットのどちらが良いかを選ばせようとしたが、保険料を確認すると、その額がとてもこのクルマに見合ったものでないことは明らかだった。
つまり、このクルマを買い戻す理由など何ひとつなかったのだ。
だからこそ買い戻すことにした。
このAクラスは生まれてからの22年間、ずっとメルセデス・ベンツかわたしがオーナーだったのであり、家族の成長とともにあったこのクルマを失いたくなかったのだ。
いまでは、1950年代生まれの2CVと1960年代生まれのフィアット500、そして1970年代生まれのランドローバーという、わたしのクラシックコレクションにこのAクラスも加わっている。
この先10年はわたしの手元に置き続けるだろう。
そして、10年後にはふたたびメルセデスのもとに戻ることになるかも知れない。
番外編1:ご予算別 初代Aクラス(W168)のユーズドモデル
2000ポンド(27万7000円)
間違いなく最高のコンディションの1台を手に入れることが出来る。
完ぺきなメンテナンス履歴を備えた、低走行のまるで新車のようなAクラスだ。
フォード・フィエスタよりも全長の短いロングホイールベース版は、十分探し出すだけの価値があるモデルだ。
1000ポンド(13万8000円)
1000ポンドでも数多くの低走行車両を見つけ出すことが出来る。
だが、錆の兆候には注意が必要だ。W168世代のAクラスは、後から登場したメルセデス製モデルほど錆には強くない。
リコール作業が行われていることと、インテリアパーツがあまりダメージを受けていないことを確認しよう。
500ポンド(6万9000円)
例え500ポンドでも、完ぺきに実用に耐えることが出来、しかも後期モデルのAクラスを手に入れることが可能だ。
おそらくは過走行で、特にキャビンを中心に見た目もボロボロの車両だろうが、メンテナンスさえしっかり行われていれば、依然としてバーゲンであることに間違いはない。