【称賛したくなる624psの恐竜】BMW X6 Mコンペティションへ試乗 V8ツインターボ

公開 : 2020.03.10 09:50  更新 : 2020.03.11 21:48

息を巻くほどのコーナリング能力

周囲を圧倒するような怒涛のパワー・デリバリーと、トランスミッションと4輪駆動システムによって、道路を選ばず支配するような体験。複数用意されたドライビングモードで適したものを選べば、鮮烈な記憶を生み出すだろう。

M5譲りのエンジンは、トップクラスのスーパーカーに並ぶ、揺るぎないエネルギーを放出する。0-100km/hの加速はわずか3.8秒であることが、それを表している。

BMW X6 Mコンペティション(北米仕様)
BMW X6 Mコンペティション(北米仕様)

興味を持ってディーラーでオプションを選ぶ時は、Mドライバーズ・パッケージを忘れずに選択したい。リミッターが外され、289km/hの最高速度が解き放たれる。日本では非現実的だが。

さらにコンペティションなら、最も激しいドライビングモードを選べば、勇ましいバリトンボイスのエグゾーストノートも楽しむことができる。グリップ力は途方もないほど高い。

車重は2295kgと軽くないにも関わらず、コーナーの連続する区間を高速で駆け抜ける能力には息を巻く。条件が叶えば、M xドライブとMディファレンシャルが協働し、リアタイヤとフロントタイヤとの間でトルクが変化していくのを感じ取れるだろう。

最低地上高は213mmもあるが、コーナリング時の姿勢はフラット。限界付近まで積極的に振り回さない限り、ボディロールは穏やかなままだ。

ステアリングフィールは近年のMモデルらしいといえる。低速域では不要に高い抵抗感があり、クイックでダイレクトながら、高速域では有効なフィードバックが非常に薄い。

恐竜的でも褒めずにいられない技術力

日常的な扱いやすさという点では、新しい通常のX6と同等。最も快適重視のドライブモードを選んでいても、乗り心地が過度に硬いということを除いて。揺れが穏やかになることはなく、大型SUVのBMWが本当に好きでなければ、我慢できないかもしれない。

インテリアはデザインに優れ、知覚品質も価格なりに高い。フロントシートの空間も広いが、荷室容量は通常の状態で580Lと、少々物足りない。ボディの見た目はアグレッシブさを増し、最も強力な3代目のX6だと、上手に主張できている。

BMW X6 Mコンペティション(北米仕様)
BMW X6 Mコンペティション(北米仕様)

価格もその分安くない。より親しみやすいBMW X6 M50iより、1万7780ポンド(254万円)も高価。CO2の排出量も284g/kmと盛大だが、将来的にはクラシックモデルとして、評価される可能性もなくはない。

純粋な内燃エンジンを搭載したハイパフォーマンスSUVクーペは、生き残りの恐竜的なクルマに映るかもしれない。だが、X6 Mで達成したMディビジョンの技術力の高さを、称賛せずにはいられない。

BMW X6 Mコンペティションのスペック

価格:11万3310ポンド(1620万円)
全長:4941mm
全幅:2019mm
全高:1683mm
最高速度:249km/h(リミッター/Mドライバーズ・パッケージ:289km/h)
0-100km/h加速:3.8秒
燃費:8.0km/L
CO2排出量:284g/km
乾燥重量:2295kg
パワートレイン:V型8気筒4395ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:624ps/6000rpm
最大トルク:76.1kg-m/1800rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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