【サーキット試乗】アルピーヌ新型A110 S ピュアと比較 エンジンスペック/車重を検証

公開 : 2020.03.07 10:20  更新 : 2021.12.28 00:07

アルピーヌA110の高性能モデル「A110 S」を試乗。筑波サーキットで試しました。「A110ピュア」と「S」、どちらを選ぶべきかは嬉しい悩みに。

どんなクルマ? 諸元の違いは?

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Masanobu Ikenohira(池之平昌信)

舞台はタイトな山岳ワインディング路、軽やかに裾を翻して踊り抜ける。昔も今もA110のイメージは「舞姫」だ。

と、40年の時を経てA110が復活した時に思った。それは外観デザインとかライトウェイトスポーツらしさとか、そういった雰囲気や定義もあるが、直感的あるいはもっと深い部分での共鳴、要するに問答無用の「好き!」なのである。

アルピーヌA110 Sを筑波サーキット・コース2000で試乗。
アルピーヌA110 Sを筑波サーキット・コース2000で試乗。

そのA110に新しい仲間が加わった、A110 Sだ。

従来のバリエーションはピュアとリネージの2モデル。装備違いで、パワートレインとサスチューニングも含むシャシー設定は共通。キャビン後方に鎮座する1.8Lターボのパワースペックは、252ps/32.6kg-m。車重はピュアが1110kg、リネージが1130kg。

対して「S」は、最大トルクは標準系と同じだが、最高出力が16%アップの292ps。車重は同等の利便装備を備えるピュアと共通の1110kg。カーボンルーフ採用ならカタログ重量にも現れる軽量化が望まれるが、4kg/psを切ったパワーウェイトレシオに不満などあろうはずもない。

なお、「S」でも車体色グリトネールマットは10kg増重しているが、これはホイール総重量がフックス製鍛造ホイールより5kg増加しているため。カタログ値が10kg増になるのは表記規定による。

最大トルク 実質6420rpmまで

最高出力の違いは高回転域のトルクダウンの差。最大トルク発生回転数はともに2000rpm。回転上昇による僅かなトルク低下があるためで、“実質的”には標準系でも2000~5000rpmで最大トルクに相応のトルクを発生する。

これが「S」では2000~6420rpmとなり、回転上昇によるトルク低下も減少する。

A110 Sには光沢仕上げのカーボンルーフが採用される。
A110 Sには光沢仕上げのカーボンルーフが採用される。

7000rpmのレブリミット直前まで最大トルクで加速できるのだ。「回して稼ぐ」は時代に逆行するような気もするが、熱い走りを期待させる特性である。

全開加速性能向上を求めたパワートレインには、限界コーナリングを前提にしたシャシーを組み合わせるのが常套。その通りにサスペンションには「S」専用チューニングが施され、地上高も4mmローダウン化される。

ブレーキはキャリパー色が異なるものの標準系と共通。もっとも、フロントにアルミモノブロック対向4ピストンを配したブレンボ製ブレーキなら十二分である。

そして試乗の舞台は筑波サーキットだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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