【450kmの持久力だけじゃない】キア・ソウルEV 好印象な走りとデザイン、乗り心地
公開 : 2020.03.11 10:20 更新 : 2021.03.05 21:36
ハンドリングも乗り心地も好印象
最も強くエネルギーの回生が行われる状態では、アクセルペダルを離すとスピードが急激に落ちる。だが、日産リーフのようにワンペダル・ドライブをしたいと思えるほど、制御からはドライバーの自信を引き出せないように思えた。
物理的なブレーキは、知的に制動力が調整されている。特に違和感もなく、ズムーズに減速できていた印象だ。
ソウルEVのハンドリングは、力強い電気モーターの影響もあってわずかに向上しており、好ましい。ステアリングは正確で人工的な操舵感もなく、他のキア製モデルと異なり重み付けも自然。いい意味でキアのクルマっぽくはない。
乗り心地はかなり良い。e-ニロよりやや車重が軽く、ソウルには柔らかめのスプリングレートを持つ足回りが与えられている。荒れた路面では、柔軟性が向上しているようだ。
充分機敏に、落ち着いたマナーで進行方向を変えていく。どこかのんびりとしたクルマ自体の性格と相まって、固有の運動性能に仕上がっている。
負荷がかかった時の圧縮方向の動きはスムーズ。管理の悪い郊外の一般道がクルマへ与える振動から、車内を上手に隔ててくれる。
ほぼ価格で並ぶキアe-ニロではなく、ソウルEVを選択するなら、多少の妥協点も受け入れなければならない。車内はデザインも良く広々しており、装備も充実しているが、荷室空間はかなり狭いのだ。
ライバルより一枚上手のアピール力
キアe-ニロが451Lの荷室容量を確保しているのに対し、ソウルEVは315Lに留まる。この数字はフォルクスワーゲン・ポロよりも小さい。キアの2台のEVで検討するなら、小さくはない検討材料となるだろう。
この130Lほどの差に目をつぶれば、ソウルEVはEVとして訴求力のある、人とは違った好感の持てる選択肢となるだろう。しかもEV市場は、今後大きくなる一方でもある。
モデルチェンジによって見た目の上品さは少し減ったが、日産リーフやキアe-ニロ、ヒュンダイ・コナ・エレクトリックと比べても、アピール力は一枚上手だと思う。洗練度も高く、過不足なく速く、運転もしやすい。
加えて450kmという航続距離は、かなりのストロングポイント。フォルクスワーゲンID.3が本格的に展開され始めるまで、この価格帯としては飛び抜けた持久力の持ち主でもあるのだ。
キア・ソウルEVファースト・エディションのスペック
価格:3万3795ポンド(483万円)
全長:4195mm
全幅:1800mm
全高:1605mm
最高速度:167km/h
0-100km/h加速:7.6秒
航続距離:450km(WLTP)
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:1757kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:64kWh
最高出力:203ps/3800-8000rpm
最大トルク:40.1kg-m/0-3600rpm
ギアボックス:シングルスピード・ダイレクトドライブ