【PHEVのクロスオーバーで300ps】ボクソール(オペル)・グランドランドXに試乗
公開 : 2020.03.12 10:20
ドライビングの第一印象は良好
英国や欧州政府の政策への批判となってしまったが、グランドランドX ハイブリッド4はこの新しいルールに合わせて設計されたクルマ。ボクソール(オペル)を批判することはできない。
全長4477mmとなる、グランドランドX ハイブリッド4のリアシートは広々ではないが、小柄な大人なら充分な空間が確保されている。定員分の週末旅行の荷物には狭いものの、荷室空間も必要充分な大きさがある。
ただし、価格価値で評価を得てきたボクソール(オペル)にとって、グランドランドXの価格は選択時に引っかかる部分となる。インテリアは暗く、値段の割に安っぽいプラスティック製の部分が目立つ。
インフォテイメント・システムも、プレミアム・ブランドに迫るトップグレードの価格を考えれば、物足りないといわざるを得ない。
ドライビング体験は、一般的なディーゼルエンジンを搭載したクロスオーバーに乗っていたドライバーなら、納得できるもの。グランドランドX ハイブリッド4の洗練された運転のしやすさは、誰にとっても良い第一印象を与えるはず。
ドライブモードでハイブリッド・モードを選択していても、バッテリーが空でない限り、リアの電気モーターの力だけで発進する。EVのように、街なかで走らせている範囲ではレスポンスに優れ、スムーズでパワフル。
右足で踏むペダルに直結しているかのように、推進力の活発さには満足感がある。電気モーターだけで出せるスピードも不満はなく、意図した走りをしない限り、エンジンは基本的に目覚めることがない。
不満もあるが、路面を問わず快適な走り
都市部を離れて速度域が上がってくると、滑らかさはわずかに削がれていく。もう少し、電気モーターとエンジンとのハーモニーが取れていれば、と感じる。
エンジンは電気モーターではまかなえないニーズに、渋々応答するように回転。アクセルペダルの踏み込み量に対し、リニア性に欠ける不自然な反応を得ることになる。電気モーターの回転上昇に対して、エンジンは1、2秒遅れているようだ。
速めの走りはどこかぎこちない。シフトパドルで変速できるトランスミッションが、少し改善はしてくれるけれど。
フルスロットル時は活発に加速し、低速トルクもかなり太い。だが、運転が楽しいと感じられるパワートレインではない。エンジンは高回転域まで回りたがるユニットでもなく、スポーツ・モードを選んでも、惹きつけられるほどの変化はない。
グランドランドX ハイブリッド4の乗り心地と操縦性は、1.8tの車重と高い全高を反映している。日常的な速度域では十分にまとまりのある乗り心地だが、垂直方向の動きには弱い様子。不規則な横方向の動きも感取された。
速度を上げてコーナリングすると、ロールしたボディを戻すように外側が素早く持ち上がるような挙動を示す。ステアリングは、重み付けやレシオは中程度の設定。正確性やフィーリングが特段良いわけではない。
全般的に路面を問わず、グランドランドX ハイブリッド4は十分快適に走れる。ドライバーズカーではなく、パワートレインの構成に合わせるように、動的性能も自然な位置に限界が設定されているようだ。