【新時代のグランドツアラー対決】ポルシェ・タイカン vs ポールスター1 vs メルセデスAMG GT 63 S 前編
公開 : 2020.04.04 07:20 更新 : 2021.02.10 17:27
場所を選ばないグランドツアラー
今回参加する1台は、現役俊足GTのお気に入りの1台、メルセデスAMGのGT 63 S 4ドアクーペだ。
確かにやや時代遅れな存在かも知れないが、最新の内燃機関を積んだGTカーの真の実力と幅白い能力を示す1台として、その高級さと気品を上回る全方位に渡る魅力を備えたこのクルマを打ち負かすのは簡単ではない。
639psを発揮する4.0LツインターボV8エンジンとアクティブ・トルクベクタリング機能を備えた4輪駆動システムを組み合わせ、0-100km/h加速3.2秒、最高速315km/hというまさにスーパーカー級のパフォーマンスを実現している。
実際の路上でもこうしたスペックどおりの速さを見せつけるとともに、快適性と多用途性も忘れたわけではない。
使い勝手に優れた4つのドアを持つ十分の広さのキャビンには、大人が快適に過ごすことの出来る4つのシートが設置され、そのトランクは4人が週末を過ごすための荷物を苦も無く飲み込んで見せる。
すでに何度もご紹介しているとおり、このクルマにはAMGらしいドライバーアピールとパフォーマンスが備わっており、大型スポーツカーのようなハンドリングとともに、真に快適な長距離移動を楽しませてくれる。
まさに場所を選ばないグランドツアラーだと言える。
長距離走行では最高11.3km/Lも可能な燃費性能と、66Lの容量を持つガソリンタンクによって、720km以上をノンストップで走り切ることが出来、燃料補給もパッセンジャーがサービスエリアのフリーWiFiにログインして、SNSをチェックする間もなく終了する。
電動ハイブリッドGT代表
依然としてEVのグランドツアラーにはこうした航続可能距離と燃料補給の利便性は望むべくもないが、プラグイン・ハイブリッドであれば話は別だろう。
そして、電動ハイブリッドのグランドツアラーを代表するのがこの素晴らしいポールスター1だ。
その魅力的なスタイリングによって、このクルマはインパクトともにポールスターとは何者かということを知らしめるという、そのデビューの目的を果たすことに成功するに違いない。
CFRP製ボディの下に積まれるのは、「ツインチャージ」2.0L直列4気筒エンジンと3基の電気モーターであり、最大589psのパワーと102.0kg-mのトルクを発揮して四輪を駆動する。
実際の路上でも100~110km程度のEV走行が十分可能なバッテリー容量を確保するとともに、400kmほどのガソリン走行が可能なタンク容量も備えている。
では、このクルマに問題はないのだろうか?
複雑なパワートレインの構成により、今回の3台のなかではポールスター1がもっとも重く、0-100km/h加速4.2秒、最高速249km/hを誇るとは言え、もっとも遅い1台となっている。
それでも、必要とあらばこのクルマは見事に十分な速さを味わわせてくれる。
理想的とは言えないが、ポールスター1も立派なドライバーズカーであり、間違いのない選択肢だ。
だが、見事な出来栄えを誇るポルシェ・タイカン・ターボSとは残念ながら比較にならない。
このクルマのドライビングはいまも強く記憶に残っている。