【新時代のグランドツアラー対決】ポルシェ・タイカン vs ポールスター1 vs メルセデスAMG GT 63 S 後編
公開 : 2020.04.05 07:20 更新 : 2021.02.10 17:27
タイカンの秘密
だからこそ、この3台のうちでどれか1台を選ぶとすれば、その答えはタイカンということになるのだ。
そして、何度聞かれてもこの選択が変わることはないだろう。
タイカンのパフォーマンスの秘密や、多くがより優れたハンドリングのマシンだろうと考え、実際に250kgも軽量なGT 63 Sを、より重量級のモデルだと感じさせる理由を理解しようというのは、これまで直面したなかでもっとも困難な任務のひとつだと言える。
だが、それがこのクルマをグランドツアラーにしているわけではなく、それが今回の比較試乗を分かり難いものしているのだ。
メルセデスAMG GT 63 S 4ドアクーペとポールスター1、そしてポルシェ・タイカン・ターボSの3台は同じようなモデルだと思われているかも知れないが、それぞれがまったく異なる個性を持っており、まったく違った顧客とまったく異なる目的のために存在している。
「ロード・トゥ・ゼロ」に向けた道筋を思えば、こうしたニッチモデルを求めるドライバーに対して、世論や規制が決定的なノーを示さない限り、現時点であればメルセデスを勧めると思うだろう。
真に偉大なクルマ
今後数年間は、ポールスターがEVグランドツアラーの実現に向けた橋渡し役として、理想的な存在に違いない。
そして、さらにその何年か先、世界がEV所有を支持し、充電設備の拡充を進める準備が整った時、ようやくタイカンが現実的な選択肢になると。
確かにそう思うのも当然かも知れない。
だが、問題はこの3台との思い出がフレッシュなまま記憶に深く刻まれていくなかで、つねに思い出すのはポルシェだということだ。
一体どうやったらあれほどのパフォーマンスとハンドリングを実現することが出来るのだろうか?
どうやったらあれほどの重量を感じさせずに済むのか?
そして、どうやったら自分のライフスタイルにこのクルマをフィットさせることが出来るだろう?
真に偉大なクルマというのはドライバーを魅了するとともに、混乱させ、説明の出来ない何かを残すものだ。
そして、それはGTであろうとなかろうと変わらない。
ポルシェ・タイカンはまさに偉大なクルマと呼ぶに相応しい存在だ。
各車のスペック
ポルシェ・タイカン・ターボS
他のEV同様、使い勝手の面で課題はあるが、ハンドリングとドライバーアピールで新たな地平を開くことに成功している。見事なドライビングを見せる。
価格:13万8826ポンド(1885万円)
販売:発売中
エンジン:電気モーターx 2基
パワー:762ps(ローンチコントロール使用時)
トルク:107.0kg-m(ローンチコントロール使用時)
ギアボックス:2速オートマティック(リア)、モーター直結(フロント)
乾燥重量:2295kg
0-100km/h加速:2.8秒
最高速:259km/h
燃費性能:3.96km/kWh(WLTP複合)
CO2 排出量:0g/km(WLTP複合)
EV航続距離:404km(WLTP複合)
ポールスター1
魅力的なルックスに見合った高級なキャビンと洗練、そしてドライバーアピールを備えている。やや物足りない点はあるものの、ダイナミクス性能も同じくらい素晴らしい。
価格:13万9000ポンド(1888万円)
販売:発売中
エンジン:1969cc直列4気筒+電気モーターx 3基
パワー:599ps(トータルシステム出力)
トルク:101.9kg-m(トータルシステム出力)
ギアボックス:8速オートマティック(フロント)、モーター直結(リア)
乾燥重量:2350kg
0-100km/h加速:4.2秒
最高速:249km/h(規制値)
燃費性能:142.8km/L(WLTP複合)
CO2排出量:15g/km(WLTP複合)
EV航続距離:126km(WLTP複合)
メルセデスAMG GT 63 S 4マティック+ プレミアム・プラス
電動化されたGTは、実用性と魅力の面で依然として内燃機関モデルを凌駕することは出来ていない。速く、多才で、いまや社会的に許容されるすれすれの存在だとしても、それだけの価値はある。
価格:14万5495ポンド(1976万円)
販売:発売中
エンジン:3982cc ツインターボV8
パワー:639ps/5550-6500rpm
トルク:91.8kg-m/2500-4500rpm
ギアボックス:9速オートマティック
乾燥重量:2045kg
0-100km/h加速:3.2秒
最高速:315km/h
燃費性能:7.6-7.8km/L(WLTP複合)
CO2排出量:288-299g/km(WLTP複合)
EV航続距離:na