スコダ・ラピッド・スペースバック 1.6TDIプロトタイプ
公開 : 2013.08.29 20:30 更新 : 2017.05.29 18:40
■どんなクルマ?
ファビアとオクタビアのギャップを埋めるラピッドにスペースバックが追加された。この新しい風変わりなノッチバックは、従来より小さなハッチバック・ルックを特徴とする。
現在、オーダー可能なのは非力なディーゼルのみだ。89bhpの1.6ℓエンジンがそれで、104bhpバージョンは後から追加されることになる。公式には来月のフランクフルト・モーターショーでデビューする予定なので、そのプロトタイプをドライブする機会に恵まれたのは、この非力なディーゼル・バージョンだ。
スコダはフォード・フォーカス、ヴォグゾール・アストラ、ルノー・メガーヌといったモデルから顧客を奪い取ろうとしているが、実質のライバルとなるのはズバリ、キア・シードとヒュンダイi30であろう。ちなみに、英国向けの右ハンドルは、来年1月に発売されこととなるが、ラピッド・スペースバック自体の生産は来月からスタートする。
■どんな感じ?
特に英国では、その落ち着いたスタイルを持つ兄弟よりも大きなセールスが期待されるモデルだ。レギュラーのラピッドとBピラー以前は同じで、リア部分のみがリスタイルされている。その全長は4304mmと179mmカットされており、キア・シードよりも短い。カットされた後部はブート・ボリュームも550ℓから415ℓに切り詰められたことを意味する。しかし、リア・シートを畳めば1380ℓのスペースが出現する。また、それでもキア・シードの380ℓよりは大きく、しかも地面から677mmという非常に低い開口部も特徴だ。
また、このブート・スペースは、リア・シートのスペースを一切犠牲にはしていない。ラピッド・スペースバックでは、リア・シートの住人に充分に足を伸ばすことのスペースが提供され、ヘッド・クリアランスも充分にある。
ラピッド・スペースバックは、既存のラピッドと異なるステアリング・システムを持ち、サスペンションも修正を受けている。これは顧客からのフィードバックを活かしたもので、特に波打った路面での乗り心地を向上させている。スコダは、そのダンピングについては今までのどのラピッドよりも良いクッションを提供するために、ダンパーのセッティングを変えてきた。特に英国の悪路向けといったものだが、今回の試乗したミュンヘン郊外の道ではその評価はできなかった。
電動ステアリングは、電動油圧式から変更された。スコダ・コラム・エレクトリック・パワー・ステアリング(C-EPS)は、2〜3kgの重量軽減にも寄与しているという。
クルマは軽快でイージーなドライブが可能。ローパワー・バージョンとあって、燃費とCO2排出量は良い数値だが、加速はゆっくりだ。7速DSGとの組み合わせでも、104bhpバージョンが0-100km/h加速10.3秒に対し、12.1秒というタイムなのだ。
しかし円滑な加速を示し、日常的にはそれほど不満が起きるようなパワーではない。しかも、そのエンジン・サウンドも単調ではあるが、キャビンに入り込む量はよく抑えられているといえよう。
■「買い」か?
高い実用性を備えたラピッド・スペースバックは、その動力性能にダイナミックは魅力はないものの、実に賢明なチョイスとなろう。レギュラーのラピッドよりはブート・スペースは小さいが、その魅力的なデザインも好ましい。
価格はまだ発表されていないが、£13,000(197万円)からという設定となるだろう。また、今回テストした装備のDSGモデルは£16,000(243万円)といったところだろう。
(マット・バート)
スコダ・ラピッド・スペースバック 1.6TDIプロトタイプ
価格 | £16,000(243万円):予想 |
最高速度 | 182km/h |
0-100km/h加速 | 12.1秒 |
燃費 | 22.3km/ℓ |
CO2排出量 | 118g/km |
乾燥重量 | 1280kg |
エンジン | 直列4気筒1598ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 89bhp/4200rpm |
最大トルク | 23.5kg-m/1500-2500rpm |
ギアボックス | 7速デュアル・クラッチ |