ロードテスト メルセデスAMG A 45 S ★★★★★★★★★☆
公開 : 2020.03.14 11:50 更新 : 2020.03.23 18:09
走り ★★★★★★★★★☆
AMGのトップグレードがいずれもそうであるように、A 45 Sでもレースモードを選択するとローンチコントロールシステムが使用できる。四輪のホイールスピンを最適化する電子制御デバイスを用いての発進は、凶暴さとスムースさがみごとにブレンドされている。
0-97km/hを別にすれば、テストデータは途轍もない数字が並ぶ。やや湿った路面で、0-161km/hは9.3秒で、3年前にテストしたアウディRS3セダンは0.5秒以上、ホンダ・シビック・タイプRはたっぷり3秒、これより遅かった。変速ありの48-113km/hは3.3秒をマーク。これはアルピーヌA110の3.8秒すら凌いでいる。
ほぼすべての数字が、これは実に速いクルマで、パフォーマンス的には価格を正当化できることを示している。路面がややコンディション不良だったため、0-97km/hでの4秒切りこそわずかに叶わず、今回の最速タイムは4.07秒だったが、もっと暖かくドライコンディションなら、3秒台を出せた可能性はある。
この4気筒はサウンドの劇的さも満点。走行モードによって多少の変更も可能で、もっとも激しい破裂音や吸気音はいつ聴いても楽しい。
だがもし、われわれの記録した数字からわかるパフォーマンスに、あらゆる点で期待通りの強力なものかどうかという疑いの余地があるのだとすれば、エンジンを身をもって詳細に理解していったとしても、疑問の解決には至らないだろう。
トルク特性のピーキーさは、わずかなどというものではない。リッターあたり200psを超えるハイチューンユニットならば当然だ、と考えるところかもしれない。
ブーストが効きすぎとか、ターボラグに悩まされるとか感じることはない。だが、4000rpm以下でスロットルペダルをベタ踏みすると、ピークトルクのうちどれくらいを使えているだろうかと疑問を覚える。
アウディの5気筒RSユニットでは、そんな風に思うことはない。AMGの4気筒よりフレキシブルなのだ。サウンドのリッチさやキャラクターで上回るとは、ほぼ誰も認めないだろうが。
8速DCTは、低速での操作性をやや不規則なものにするが、速度が上がればクイックに作動し、キックダウンの傾向は走行モードによって変化する。ブレーキペダルのフィールは秀逸で、やや滑りやすい路面でのテストの際にも制動力は強力だった。