ロードテスト メルセデスAMG A 45 S ★★★★★★★★★☆
公開 : 2020.03.14 11:50 更新 : 2020.03.23 18:09
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
ドライバーズカーはなによりも優れたステアリングを備えているべきだと考えているなら、その点でのA 45 Sの初手は十分にお気に召すはずだ。
速度感応式の可変ギアを備えるステアリングは、トルクステアによる振れや奇妙な振動の影響を受けないわけではない。しかし、自信を持って操作できる手応えとアキュラシーをもたらしてくれる。
AMGのより本格的な後輪駆動モデルがそうであるように、タイトなコーナーが続く道でも十分に確信を持ってコース取りするのを容易にするほどフィールが豊かだ。
電動パワーステアリングを装備する現在のハッチバックの基準に照らせば、このクルマの操舵系はトップクラスといえる。ただし、もう少しセルフセンタリングが効いていれば、まちがいなくこの分野のナンバーワンだっただろう。
次に確かめるべきは、ロードホールディングが要求通り強力かどうか。巧みなトルク配分や245セクションのタイヤを考慮すれば、そこは期待するところだ。アグレッシブにコーナーへ飛び込むと、背の高いボディが反応するまでにほんのわずかな遅れがあるものの、それはかなり過激に舵を切ったときだけだ。
ほとんどの場合、重心は低く感じられ、おおむね安定感は揺らがない。グリップとトラクションは絶大なものがある。
だが、ドリフトモードに関しては疑念もある。可能な限り多くの駆動力をリアの外輪へ配分するセッティングだ。派手に宣伝してはいるが、これを含めたAMGダイナミックセレクトのアグレッシブ寄りなモードのいずれを選んでも、思い切りカウンターを当てるようなことはまずない。むしろ、ニュートラルさの高いレベルに驚かされるほどだ。
コーナリングしている間、リアは内輪側のブレーキを効かせつつ外輪へ駆動力を送る。これは、根本的にはアンダーステアを打ち消すものだが、ときにわずかばかり舵角を戻すような回り方を見せることもある。
もっと重要なのは、グリップの限界に達しない範囲で走っているときでさえ、A 45 Sはどんなハッチバックよりも夢中になれて、シリアスで、洗練されたクルマだと感じられることだ。4WDであろうがFFであろうが、これ以上のものはない。