【ブガッティT55に乗って56年】フィゴーニ社製ボディの麗しいレーサー 前編

公開 : 2020.03.22 07:50  更新 : 2022.08.08 07:50

レーサーの牽引車両となったタイプ55

その後多くのブガッティと同様に、ドーバー海峡を渡って英国に輸入されたタイプ55。スミス・インダストリーズ社でエンジニアをしていた、セント・ジョンと出会うことになる。その時、彼はブガッティ・タイプ35Bのスペア車両を探していたという。

1962年、VSCC(ビンテージ・スポーツカークラブ)のイベントでホイールを破損させたセント・ジョン。ブガッティのスペアパーツの取り扱いで有名な、HHガレージのトーマスへ連絡を取った。そこで、750ポンド(10万円)で売りに出ていたフィゴーニ・タイプ55を見つける。

ブガッティ・タイプ55(1932年)
ブガッティ・タイプ55(1932年)

トーマスは、タイプ55がベストの状態だと話していたが、セント・ジョンが初めに興味を持ったのは状態の良いホイールだった。1963年にタイプ55を入手した当初、ル・マンでの戦いの歴史は知らなかったという。

レースに積極的だったセント・ジョンは、参戦準備とタイプ35Bでの戦いに時間を費やした。だが、ある時点でタイプ55のリビルトにも着手。クルマは1967年に路上へと復活する。プレスコット・ヒルクライム・レースに参戦すると、珍しいロードスターは大きな注目を集めた。

タイプ35Bにかわってタイプ51を手に入れると、セント・ジョンはフィゴーニ・ボディのタイプ55の後ろに牽引バーを取り付け、レーサーを運べるようにした。チェッドワースの自宅から、プレスコットまで、もとツインカム・レーサーがツインカム・レーサーを牽引する光景が生まれる。移動はいつも妻のリタと一緒だ。

この続きは後編にて。

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