【見直される価値】ジュネーブモーターショー中止 決定は直前だった 出展者、怒りも
公開 : 2020.03.14 18:50
新たなアプローチ
アウディやトヨタ、フォードでは、すでにメディアやディーラー、そして顧客向けにプライベートなモーターショーとでも呼ぶべきイベントを開催しており、こうした機会に新型モデルのプレビューを行うことで、市場の反応を確認しているのだ。
さらに、こうしたイベントはメーカー自ら時間と場所を選ぶことが出来るため、特にジュネーブのような大型モーターショーでは顕著なホテルの価格高騰などに悩まされることもない。
それでも、モーターショー側もすでにこうした事態への対応を始めている。
先週、フランクフルトモーターショーを主催するIAAは、この隔年開催のイベントを来年からミュンヘンで行うと発表しており、ショー自体にもまったく新しいアプローチが採用されることになるようだ。
「IAAはもはや単なるモーターショーではなく、モビリティーのプラットフォームへと変化します」と、ドイツ自動車工業会(VDA)会長のベルンハルト・マテスは話している。
「展示会場を飛び出し、市街地へと広がるのです」
有名な米国デトロイトのモーターショーも新たな姿を模索しており、2019年のショーでは前回よりも3万5000人来場者が減少したことを受け、今年は開催時期を夏へと移すことになる。
しかし、自動車メーカーのなかには、モーターショーが依然としてひとびとの関心を集めるのに有効な方法だと考えているところもある。
モーターショーにはまだ役割
ラグジュアリーカーやスポーツカーメーカーの多くが、すでに他の主要なモーターショーへの参加は取り止めても、世界中の富裕層に対してVIPデーが設定されているジュネーブには出展を続けているのだ。
こうしたメーカーにとって、今年のショーの中止は痛手だろう。
「非常に残念です」と、新型ロードスターモデル、マリナー・バカラルのオンライン発表の際、ベントレーCEOのエイドリアン・ホールマークは語っている。
「史上最高のステージを準備していたのですが、すべてをストップすることになりました」
新たなエントリーモデルとなるプラス・フォーの公開を予定していたモーガンでは、昨年のジュネーブで公開初日に60台を受注したロードスターモデル、プラス・シックスの再現を狙っていた。
「もちろん影響はあるでしょう」と、CEOのスティーブ・モリスは話している。「厳しい現実です。これ以上の混乱は見たくありません」
モーガンは地元までこの新型プラス・フォーをドライブすることで、ひとびとの注目を集めるとともに、ジュネーブに替えてマルバーンにある本社で発表会を行っている。
他の自動車メーカーも、多くは本社を舞台にライブ配信によるプレゼンテーションと記者会見を早速開催している。
世界中のメディアとクルマ好きがインターネット経由で見た今年のジュネーブで、足りないものは明らかだった。
LMCのケリーは、「実際にニューモデルがどんな風に見えるのかをオンラインで再現するのは非常に困難です。つまり、モーターショーにはまだ役割があるということです」と話している。