【手に入る内に楽しみたい】フォルクスワーゲン・アップGTI 極小ホットハッチ復活
公開 : 2020.03.15 10:20
再登場となったゴルフGTIの弟分、アップGTI。グリップ力や動力性能以上にGTIというバッジが先行している感はあるものの、シンプルで運転する楽しさもたっぷり詰まっています。WLTPテストへ対応したモデルを、英国で評価しました。
WLTPテストに対応して再上陸
マイナーチェンジを受けたフォルクスワーゲン・アップGTI。フォルクスワーゲンが2020年にラインナップするホットなハッチバックの中で、最も小さいモデルだ。
価格は若干高くなったが、際立った何かがあるわけではない。クルマの放つ誘惑は変わらないものの、ショールームに姿を見せるのは久しぶり。
ホットなアップは、2018年の1月に登場して以来、英国でも高い人気を集めてきた。だが、台数の限られる右ハンドル仕様を、英国のニーズが満たせるほどは割り当てられずにいた。
WLTPテストへ対応させる期限が迫る中で、アップGTIは2019年4月に一度販売をストップしていた。そして今、テストを無事にパスして、アップGTIが戻ってきた。
新しく2次元化されたブランドロゴをまとう、初めての1台でもある。VWのレタリングは細くなったが、従来どおりブラックの上にクロームで記されている。
それ以外は、基本的に以前と変わらない風貌。ボディサイドの下に入るダブルストライプのグラフィックと17インチのアルミホイール、黒く塗られたサイドミラー・カバー、小さなルーフスポイラーが、やんちゃな雰囲気を漂わせる。
ルックスからは従来どおり、充分な熱量を感じ取れる。ひと目見ただけでGTIだとわかるし、眉をひそめられそうな乱暴さもない。走りを過度に期待させるほどでもなく、丁度いい仕立て具合だと思う。
車線維持支援システムが追加
車内も、基本的にこれまでと変わりない。GTIの印といえるジャカラ・タータンチェックのクロスがシートに張られ、ダッシュボードは赤いドット柄のトリムパネルが目を引く。
ほかのアップと同様に、GTIにはカメラ映像を利用した車線維持支援システムを搭載。思い思いに走りたい時は、ボタンを押してオフにもできる。カーテン・エアバッグも標準装備となった。
5.0インチのインフォテイメント用モニターもそのまま。機能は限定的だが、ダッシュボードにはスマートフォンの固定用スタンドが用意された。システムと連携させることで、ナビゲーションとして利用したり、音楽を楽しんだりできる。
価格を考えればよく考えられたシステムだ。小さなドライバーズカーには、これで充分。
新しいアップGTIだが、ドライビング体験に関して変更された部分はない様子。従来どおりコミュニケーション力豊かで喜ばしい。クルマの限定的な動力性能と合わさり、ホットハッチの愉しさが引き立っている。とても豊かな個性を生んでいるといっていい。
3年前に登場した時、フォルクスワーゲンは標準のアップから車高をわずかに落とし、サスペンションを硬くしていた。17インチのホイールを履き、オフセット値を見直してトレッドを広げてあった。
限られたメニューが、アップにずば抜けたグリップ力やコントロール性を与えたわけではない。だが115psと20.4kg-mのエンジンパワーは、クルマに必要充分な活気をもたらしていた。