【業界初】フロント電動パーキングブレーキ 独ZFが投入 リアの手動システム、不要に
公開 : 2020.03.13 15:20 更新 : 2020.03.13 20:33
フロント用の電動パーキングブレーキが登場。ドイツのZFが、市場投入を発表しました。どのようなメリットがあるか、まとめてみました。
導入のメリットは?
手動で操作するパーキングブレーキ・レバーが存在しない新型車を、多く見かけるようになってきた。電動パーキングブレーキの普及が進んでいるのだ。
そうしたトレンドの中にあって、ドイツの自動車部品大手「ZF」が、フロントアクスル用の電動パーキングブレーキを市場投入すると発表した。
フロントキャリパーの構造を少し変更するだけで導入でき、リアの足まわりから手動パーキングブレーキに必要な構成部品を省略できるメリットがある。
クルマの大小を問わず、新車装着が増えている電動パーキングブレーキ(EPB)だが、ボディサイズが小さなクルマでは採用が難しい面もあった。
しかしフロント用EPBの登場により、コンパクト・クラスの車両で、従来のハンドブレーキ・レバーやパーキングブレーキ・ペダルがない室内空間を実現できるわけだ。レバーの代わりに設置されるのは、小さなスイッチだけである。
オートホールド/ストップ・アンド・ゴーも
EPBは、従来のパーキングブレーキ機能だけでなく、坂道発進を容易にするオートホールド機能も魅力の1つ。
また、EPBに搭載された「ドライブ・アウェイ・アシスト」により、ストップ・アンド・ゴーを繰り返す市街地走行/渋滞時に、ドライバーの負担を大幅に軽減することが期待される。
さらに、滑りやすい坂道での駐車時には、フロントアクスルにより高い静的荷重を掛けてクルマを止めることができ、安全性も高い。
なによりも大きなメリットは、必要な電子パーツ/ソフトウェアを、既存のESC制御ユニットに統合できる点。つまり、クルマからリア・マニュアル・パーキングブレーキ・システム分の重量を減らすことが可能なのだ。
ZFは、2001年にリア・アクスルの電動パーキングブレーキを業界で初めて量産した。これまでに出荷したEPBは、全世界で7800万台を超えるクルマに搭載されているという。
同社のアクティブ・セーフティ事業部シニア・バイスプレジデントであるマンフレッド・マイヤーは、「ZFのフロントEPB技術は、業界に真のイノベーションをもたらすものです。小型車や超小型車にも、EPBを導入してそのメリットを十分に活用できるようになります」と述べている。
今回発表されたフロント電動パーキングブレーキは、韓国と中国で間もなく生産が開始される予定だ。