【一昔前ならスーパーカー級】フォーカスRS マウンチューンM520へ試乗 520ps

公開 : 2020.03.16 10:20  更新 : 2022.08.08 07:50

ドライで4速でもホイールスピン

トルクステアも強力。だが冷静を保っていれば、生け垣に突っ込むようなことはないだろう。慣れるまでは、かなりの脅威を感じるかもしれないが。

滑らかで乾燥した直線でも、フルスロットルを与えれば、4本ともにタイヤは耐えきれずスピンする。4速でも。電子制御システムはオフの方がクルマは幸せかもしれないが、タイヤは常に回転過剰。ラリードライバー級のスキルが必要だ。

フォード・フォーカスRS マウンチューンM520(英国仕様)
フォード・フォーカスRS マウンチューンM520(英国仕様)

適切にシフトアップしてパワーを掛けていけば、猛烈な勢いでスピードを高めていく。追い越したフォルクスワーゲン・ゴルフRが、普通のクルマのように見えるかもしれない。

爆発的なトルクに慣れてくると、シャシーの許容量の高さも理解できてくる。ターボラグに悩まされないブーストアップされたエンジンと、4輪駆動にマニュアルが組み合わされた、M520の体験を満喫できるようになる。

ブローオフのホイッスルと、ターボの唸りがエグゾーストノートとともに響いてくる。アクセルオフにすると、ターボラグを解消するアンチラグシステムの破裂音も、劇場的に楽しめる。

マウントチューンM520のドライビング体験は、楽しむというより、スピードのスリルを味わう、といった方が近い。パワースライドもできるが、しばしば息が合わないこともある。敬意を払い、学んでいく必要がある。

完璧ではない。それでもフォード・エスコート・コスワースの後継モデルを探していた重度のフォード信者にとって、フォーカスRS マウンチューンM520は待ち望んでいた1台だと思う。

最もスリリングなフォーカスRS

個人的には、少し穏やかなマウンチューンM400rを試してみたい。依然として凄まじく速く、M520ほどキットの値段も高くないから、シャシーへお金を回すこと可能だ。

車高の下がる、KW社製のサスペンションは手に入れたい。車重的に必要だと思うし、リアタイヤの安定性は高まり、自由に振り回せるようにもなる。

フォード・フォーカスRS マウンチューンM520(英国仕様)
フォード・フォーカスRS マウンチューンM520(英国仕様)

お金で解決できる最もスリリングなフォーカスRSを探しているなら、M520の備える二面性は、特に心に響くだろう。

ターボが目覚める前のパワートレインは扱いやすく、標準のフォーカスRSと遜色ない乗りやすさを残している。スイッチを入れた時の520psと71.2kg-mというスペックを考えれば、驚くほどの振り幅だ。

フォーカスにこだわらないのなら、中古のベース車両と合わせて最低でも3万7000ポンド(529万円)ほど掛かる費用を考えると、疑問も湧くはず。三菱ランサー・エボリューションXなどに目移りしても当然。

ランエボXも、グループAラリーマシンのような雰囲気を漂わせている。M520に匹敵するスピードを持ち、走行時の質感やインテリアの仕立ても、負けてはいない。フロントタイヤに頼りすぎない、甘美なハンドリングも備えている。

パフォーマンスでいえば、メルセデスAMG A45 Sという選択肢もあるが、高価でカリスマ性はそれほどでもない。直接のライバルとはならないだろう。

フォード・フォーカスRS マウンチューンM520のスペック

価格:3万7000ポンド(529万円・ベース車両込み)
全長:4378mm(標準フォーカス)
全幅:1825mm(標準フォーカス)
全高:1454mm(標準フォーカス)
最高速度:281km/h(予想)
0-100km/h加速:4.0秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:1599kg
パワートレイン:直列4気筒2261ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:520ps/5550rpm
最大トルク:71.2kg-m/4000-4700rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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