【ハマーEV】中身を公開 フルEVとして復活 価格はエスカレード並み? 航続距離を予想

公開 : 2020.03.17 11:50  更新 : 2021.10.09 23:54

ポルシェと同じ、800V・350kwに対応

今回の発表で、自動車業界が驚いたのは、「アルティウム」では、直流による急速充電方式が2つある、という点だ。

1つは、近年のEV用としては一般的な電圧400V方式で出力を200kwに設定した。

ポルシェ・タイカン
ポルシェ・タイカン

もう1つの、800V・350kw方式は、ポルシェ初のEV「タイカン」で採用される大出力型だ。

350kw方式を先行開発した韓国の充電器メーカーに話を聞いたことがあるが「電流が大きく、どうしても充電ケーブルが過熱するため、このように充電ケーブル自体を水冷にする必要がある」と実物を見せながら説明してくれた。

日本で日産リーフ等に使うチャデモ方式の急速充電器と比べて、充電ケーブルは2倍近い太さだった。

バッテリーパックの電気容量は、初代リーフ初期型が24kWh、2代目が40kWh、そしてe+が62kWh。

リーフe+の満充電での航続距離がJC08モードで570km、WLTCモードで458kmであることを考えると、リーフe+の約3倍の200kWhでも、ハマーEVの航続距離が640kmというのは、車重がかさんだ結果であり、けっして効率的だとは言えない。

ただ、ハマーEVが求めているのは、単なるエコカーではないようだ。プレミアムEVピックアップトラックとしてのブランドが優先する。

ボルシェEVと同じ超急速充電方式を採用、というのも、ハマーEVにとっては良きマーケティング戦略なのだろう。

では、ハマーEVは四駆なのか?

四駆が標準? 価格はエスカレードに近い?

ハマーEVは四駆なのか?

今回の発表では、「アルティウム」搭載のEVプラットフォームには、GM内製のモーターを採用し、前輪駆動、後輪駆動、四輪駆動、さらにはパフォーマンス系の四輪駆動が対応できるという。

キャデラック・エスカレード。バッテリーの価格を考えると、同等の6~7万ドル(700万円前後)まで安くなる可能性もある。
キャデラック・エスカレード。バッテリーの価格を考えると、同等の6~7万ドル(700万円前後)まで安くなる可能性もある。

これは、EVプラットフォームとしては一般的。テスラの他、米中のEVベンチャー設計者が必ずといって良いほど採用する考え方だ。

そのうえで、ハマーEVには、四輪駆動が標準装備で、廉価版に後輪駆動、そしてハイパフォーマンス系など、多彩なオプション設定が可能となる。

むろん、ライバルとなるテスラのサイバートラックの商品性を考慮することになるだろう。

価格についても、四輪駆動の200kWh「アルティウム」搭載でも、北米市場価格は10万ドル(約1050万円)以下になる可能性が高い。

もしかすると、キャデラック・エスカレードと同等の6~7万ドル(700万円前後)まで安くなるかもしれない。

理由は、EVの価格を大きく左右するバッテリーセルの価格が安いからだ。バッテリーパックとしてのkWhあたり100ドル(約1万500円)以下という。

単純計算で、200kWhでも2万ドル(約210万円)と、これまでのEVの常識で考えるとかなり安い。

今回の技術詳細公開など、徐々に姿を現わし始めた、GMCハマーEV。

2021年秋にデトロイト・ハムトラミック工場で生産を開始する。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事