【馴染みある運転感覚が好印象】ボクソール(オペル)・コルサ-e 航続距離336km
公開 : 2020.03.18 10:20
ボクソール(オペル)・ブランドの純EV、コルサ-eが登場。航続距離は336kmと持久力も充分。ミニ・エレクトリックやプジョーe-208などのライバルとしのぎを削ることになります。ドイツの一般道で評価しました。
50kWhのバッテリーを搭載しEV化
遂にコルサも、バッテリーに充電した電気だけで走れる時代がやって来た。自動車の急速な進化を実感する。
オペルからコルサの初代が登場したのは1982年。2020年の今では、336kmの航続距離を得たEVになった。ドイツのオペルと英国のボクソールにとって、最も重要なクルマの1台だといっても良いだろう。
ちなみに英国では、スペイン製の初代コルサは、ノバと呼ばれて売られていた。途中でコルサと呼び方が変わっても、毎年の販売台数は堅調で、英国でも成功したモデルの1台。ライバルと呼べるのは、フォード・フィエスタくらい。
新型コルサに純EVを追加することで、ボクソールとオペル、フランスのオーナーは、さらに高みを目指していることは間違いない。ガソリンエンジン版のコルサと同様に、コルサ-eが土台とするのは、グループPSA製のコモン・モジュラー・プラットフォーム(CMP)。
今ではおなじみのアーキテクチャで、新しいDS 3クロスバックやプジョー208も利用している。コルサと同様に、EV版もラインナップしているのはご存知の通り。
このCMPは、当初から純EV化を前提に設計されている。だとしても、ガソリンエンジン版のコルサを、ゼロ・エミッションのコルサ-eへと作り変えるのは、簡単なことではない。燃料タンクとエンジンを外して、バッテリーとモーターを積んだだけではないのだ。
50kWhのバッテリーも含めて、追加となる車重は345kg。エンジン版のコルサと同様な走行性能とハンドリングを得るために、足腰や骨格にも変更を受けている。
車重は増えても加速は活発
リアのトーションビームを後方へ動かし、前後トレッドを拡大。数mmだけだが、ホイールベースも伸ばされている。フロントのサブフレームは強化品となり、サスペンションのスプリングとダンパーも見直した。ステアリングの応答性も調整を受けている。
Hの形をした重いバッテリーの搭載位置の都合で、重心高は10%ダウン。リアシート下に大部分が収まり、フロントシートの下にも少し割り振られている。
同期電動モーターの最高出力は135psで、最大トルクは26.4kg-m。シングルスピードのトランスミッションを介して、前輪を駆動する。
車重は1455kgもあるから、コルサ-eは運動神経に優れたコンパクトカーではない。それでも電気モーターらしく、スタートダッシュは力強い。乾燥路面であれば、カタログ値通りの0-100km/h加速時間を達成できるだろう。
一方でこの手のコンパクトEVの場合、都市部で多用する30km/hくらいから80km/hまでの加速性能の方が、重視されるはず。コルサ-eは、ややパワーが絞られるノーマル・モードでも、この速度域での活発な加速が楽しい。
アクセルペダルを踏み込めば、感動すら覚える力強さで前へ飛び出す。だが、滑りやすい路面でペダルを踏みすぎると、トラクションコントロールが介入するほど激しくフロントタイヤが空転する。普通の感覚で右足を操作している限り、上質な走りを味わえる。