【感服するほどの懐の深さ】アウディRS Q8へ試乗 600ps 上質と高性能の両立
公開 : 2020.03.19 10:20 更新 : 2020.04.02 16:06
アウディの最上級・最高速SUVとなるRS Q8。途方もないパフォーマンスを発揮するだけでなく、日常の足としての乗りやすさも兼ね備えていると、英国編集部は評価します。ロンドン郊外の一般道で評価しました。
神の領域ともいえる別次元の動力性能
アウディRS Q8を、混雑したロンドンの目抜き通りで初めてドライブする。想像力を働かせないと、超が付くほど高性能なクルマだという事実を忘れてしまいそうだ。
全長は約5m、車重2.3t、最高出力600ps、価格は10万ポンド(1350万円)以上。正面を見て走らせている限り、英国価格6万7000ポンド(904万円)の、普通のQ8のようにも感じられてしまう。
RS Q8は、スーパーSUVの雄、ランボルギーニ・ウルスやポルシェ・カイエン・ターボ・クーペより、ニュルブルクリンク・サーキットを12秒も速く周回できる性能を隠し持っている。親戚でもあるが、ライバル関係にもあるクルマだ。
レコードブレーカーが、低速域での優れた乗り心地と洗練性をも持ち合わせている事実。極めて印象的であるとともに、予想外でもある。
高級感溢れるインテリアとレザーシートにも同じことがいえる。トップレベルのパフォーマンス以上に、ラグジュアリーさの方が前面に出ている。
洗練された電子技術を搭載し、アウディRS Q8並みの、神の領域ともいえるような別次元の動力性能を備えたクルマは、他に例を見ない。これほど大きく背の高いクルマが、サーキットを俊敏に高速で走るなど、考えにくい。
搭載するツインターボV8エンジンは、最高出力600psを6000rpmで発生。電光石火で変速する8速ATと極太の低速トルクで、0-100km/h加速を3.8秒でこなす。
完璧といえる安定性と旋回性
4輪駆動システムは、リアタイヤに最大で80%のトルクを分配できる。もちろん、リアのデファレンシャルはトルクベクタリング機能付きで、4輪操舵システムも搭載。
ポルシェやランボルギーニ、ベントレーにも採用される、電圧48Vのアダプティブ・ボディロール・コントロールも装備。例外的に洗練されたスロットルレスポンスと、ステアリング性能を獲得している。
その結果、ほぼ完璧といえる安定性と旋回性で、圧巻のコーナリングを披露する。コーナリングスピードや、カーブのきつさは関係ない。
その走りを支えるRS Q8のタイヤは、記録に残るほどに巨大。試乗車には、3万ポンド(405万円)ものオプションが満載されていたが、23インチのアルミホイールもその1つ。タイヤサイズは295/35で、ピレリPゼロを履く。
この巨大な専用のタイヤにも、アウディのエンジニアは洗練性を諦めなかった。「静かで快適で、どんな天候にも対応できます」 とダイナミクスの専門家が高く評価している一品だ。
アダプティブ・エアサスペンションは、大きな路面の剥がれがあっても、快適さを保ってくれる。例え200km/h近い速度でも問題ない。ひどくぬかるんだ状況にも対応するため、オフロードでは最低地上高を50mm持ち上げることも可能。
大きなアウディRS Q8を英国の一般道で走らせてみる。楽しくもあり、悩ましくもある。