ロードテスト アウディRS6アバント ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2020.03.21 11:50  更新 : 2020.04.03 08:36

意匠と技術 ★★★★★★★★★★

フォルクスワーゲングループにおけるパフォーマンスカーのヒエラルキーには、率直にいって物申したいところがある。新型RS6は、驚くほどそれに左右されることはないが。

新型のV8は3996ccで、2011年に登場したベントレーと共同開発の3993ccユニットに代わるものだ。ベントレーの現行コンチネンタルGTやベンテイガポルシェパナメーラGTSやカイエン・ターボに積まれるのと同じものだ。

新型のV8は3996ccで、ベントレーの現行コンチネンタルGTやベンテイガ、ポルシェのパナメーラGTSやカイエン・ターボに積まれるのと同じものだが、それらよりもパワフルだ。
新型のV8は3996ccで、ベントレーの現行コンチネンタルGTやベンテイガ、ポルシェのパナメーラGTSやカイエン・ターボに積まれるのと同じものだが、それらよりもパワフルだ。    LUC LACEY

しかしRS6では、それらいずれよりもパワフルな仕様とするべく開発された。ややロングストローク気味だった先代ユニットに対し、こちらのボア/ストローク比は完全にスクエアな設定だ。

最高出力は599ps、中回転域の2500rpm近い範囲で発生する最大トルクは81.6kg-mに達する。メカニズム面で関連のあるRS7スポーツバックやRS Q8でも、これほどの性能は出せていない。

グループ内を見回しても、これと同等のアウトプットでめざましいパフォーマンスをみせているのはランボルギーニウルスくらい。ポルシェのターボS Eハイブリッドを名乗るモデルもスペック面では近いが、それらはもちろん電力アシストがあってのことだ。

とはいえ、そのエンジンにハイブリッドシステムが組み合わされているというのは皮肉なものではないか。48V電装系とスターター兼ジェネレーターは、回生ブレーキで最大12kWのパワーを生み出す。

巡航速度で最大40秒、イグニッションをカットしてのコースト走行も可能。気筒休止も備わり、かつてのテスト基準であるNEDCの郊外モード燃費であれば、10.6km/L以上をマークする。

先代モデルのように、新型も機械式フルタイム4WDを採用。センターディファレンシャルはパッシブでロックするトルセンで、通常時は駆動力の60%を後輪へ配分。トラクションが悪化すると、最大85%を前輪へ送る。

後輪へのトルクは、アウディスポーツのリアLSDにより左右へ不等分に差配。電子制御クラッチにより、外輪側を余分に回すこともできる。さらに、ブレーキを用いたトルクベクタリング機構も装備している。

サスペンションは前後ともマルチリンクで、アウディスポーツが再調整した専用品。トレッドはスタンダードなA6より40mm拡幅され、最低地上高は20mm下げられている。また、標準装備のエアサスペンションは、高速域でアクティブに車高を下げる。

スティールのコイルスプリングと、対角線上の2本を連携させたダンパーを用いるダイナミックライドコントロールは、最上位グレードのヴォルスプラングに標準装備。他グレードでは、オプション設定されている。

今回、トルク可変式4WDに加え、RS6としてははじめて四輪操舵機構が用意され、英国仕様では全車に装備される。カーボンセラミックブレーキも装着できるが、9200ポンド(約129万円)と高額なオプションだ。

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