【影響は未知数】コロナショック、自動車産業への影響は? 日本市場には「ボディブロー」
公開 : 2020.03.20 08:50 更新 : 2021.10.09 23:54
新型コロナウイルス感染症の影響で、欧米各国で自動車関連工場が一時的な休止に追い込まれる事態となっています。また中国での打撃も極めて大きいです。日本市場への影響も含めて、桃田健史が考察します。
コロナ 各国で自動車の生産が休止
新型コロナウイルスは本稿執筆時点(3月19日)で、欧米での感染拡大が続いている。欧米各国で自動車関連工場が一時的な休止に追い込まれる事態となっている。
イギリスでは、日産が17日から、トヨタとホンダが18日から生産工場の稼働を休止した。ホンダはいまのところ、4月5日まで実施する予定だ。フランスでは、トヨタが18日から31日を目途に実施する。
アメリカ、カナダ、メキシコでは、トヨタが3月18日から24日を目途に、ホンダが23日から28日まで実施する。
こうした工場稼働の停止の主な理由は、
・部品メーカーの事業休止や供給数の低下
・経済が冷え込んで新車販売減少
が挙げられる。
一方、アメリカでは別の動きも出てきた。
アメリカ最大の全米自動車労働組合(UAW)は、工場従業員の安全を確保するため、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)に対して、工場の一時稼働休止を要請した。
その結果、GMとフォードは19日から30日まで、FCAは19日から31日まで実施することが決まった。
日本や欧州では、自動車メーカーの都合を優先し、経営判断として工場を止めたが、アメリカでは労働者側の意思が経営サイドを動かしたかたちだ。
その他、オーストラリアや東南アジアにも自動車関連工場の一時休止が始まっている。
リーマンショックと何が違うのか?
アメリカではトランプ大統領が3月14日、国家非常自体を宣言し「事態の収束には7月から8月までかかるだろう」と述べるなど、新型コロナウイルスの経済への影響は図り知れない。
17日には、トランプ政権が1兆ドル(約107兆円)規模の経済支援策の実施を議会に提案した。ニューヨーク株式市場は、前日比10%減となる大幅安が続く大荒れの状況から一気に脱する構えた。
こうした株価暴落といえば、2008年のリーマンショックを思い出す。なお、アメリカではリーマンショックをはファイナンシャル・クライシスと表現する。
リーマンショックは、個人向けの不動産貸付が焦げ付くなど、金融商品そのものが被害を受けたことで起こった。
アメリカ人は個人資産を証券や債券として保有し、学資ローン、住宅ローン、クルマのローンなどを組むのが一般的だ。
そのため、株価の動向は家計を直結しており、リーマンショックは結果的に自動車販売台数を大きく押し下げた。全需は1700万台から1000万台への急減した。
今回のコロナショックでも、株価大幅安によって、自動車販売台数の落ち込みは避けられないだろう。
ただ、原因が金融システムによるものではないため、感染があるていど収束した時点で経済活動が徐々に回復し、自動車販売も持ち直すとみる市場関係者が多い。