【手頃な市民のクルマの代表】フォルクスワーゲン・アップ1.0 廉価グレードに試乗
公開 : 2020.03.22 10:20
廉価さを感じさせないインテリア
トランスミッションは、マツダMX-5(ロードスター)のような、機械を操る喜びが得られるものではない。それでもゴムっぽい操作感はなく、価格が上のライバルモデルより扱いやすく感じる。
インテリアは、エントリーグレードであっても、安っぽさが強調されない点が好印象。ドアにはボディと同色に塗られた面積が多く、試乗車は特に明るい色味のクロスとドアパネル、ダッシュボードなどが組み合わされ、そう感じるのだろう。
ダッシュボードの化粧パネルは、キューブ状のグラフィックの入るパネルが選べる。廉価版だと感じさせる部分は、ステアリングホイールに操作スイッチがないことくらいだ。
少なくともフォルクスワーゲン・アップのメディア・システムは、立派と読んで良いだろう。5.0インチのカラーモニターは、画面を囲むボタンやダイヤルで操作する。ソフトウエアの動作は滑らかで、英国ではデジタルラジオやブルートゥース、USB接続機能に対応する。
インフォテインメント・システムとして使用する前提の、スマートフォン用クレドールは、様々な大きさに対応。高価なデバイスを安定した状態で固定できる。
フォルクスワーゲンが提供するアプリ、マップ+モアを手持ちのスマホにダウンロードすれば、電話やナビ、メディア機能など、運転に適した画面をスマートフォンに表示できる。クルマに関するヘルプ機能も備えている。
かなり使えるシティカー
フロントのシートもステアリングも調整域が広く、フォルクスワーゲン・アップは快適な着座姿勢を見つけるのも簡単。全方位に大きな窓が開けられ、直立気味の運転姿勢と相まって、視認性も極めて良い。
特に大柄な人でもない限り、リアシートにも大人2人が座れる空間がある。仲の良い友人たちと1日、ドライブを楽しめるクルマだ。荷室は広いとはいえないから、出発前に必要な荷物が全部積めるかは、確認した方が良い。
発表から10年近くが経過するフォルクスワーゲン・アップ。上昇した価格と、韓国からの優れたライバル、キア・ピカントやヒュンダイi10の登場もあり、掘り出し物感は薄れていることも確か。
しかし、都市部を移動することが中心のドライバーを、幸せにする陽気な個性は変わっていない。かなり使える、シティカーのままだ。
フォルクスワーゲン・アップ1.0 5ドアのスペック
価格:1万2840ポンド(173万円)
全長:3600mm
全幅:1645mm
全高:1504mm
最高速度:162km/h
0-100km/h加速:14.9秒
燃費:18.1km/L
CO2排出量:100g/km
乾燥重量:980kg
パワートレイン:直列3気筒999cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:60ps/5000-5550rpm
最大トルク:9.6kg-m/3000-4300rpm
ギアボックス:5速マニュアル