【冬がおススメ?】ボクスターで行くノースコースト500 素晴らしき冒険行 前編

公開 : 2020.03.28 20:50

2015年、ノースコースト500の名が与えられたことで一気に大人気となったスコットランドを周回する約500マイルのコースですが、夏は大混雑必至な一方、冬は荒涼とした景色を味わう冒険行を楽しむことが出来ます。今回はそんな冒険の旅にボクスターTと出掛けました。

もっとも純粋なノースコースト500

冬に旅するノースコースト500(NC500)はまさに冒険行だが、それも今回と比べれば大したことはないかも知れない。

気象警報に相応しい荒れた天候のなか、はるか北に位置するスコットランドのインヴァネスに辿り着いただけでも十分だろう。

ノースコースト500
ノースコースト500

今回の旅はポルシェボクスターTとブレンダンの名を与えられた嵐との闘いになりそうだ。

ドライビングの楽しみに季節など関係なく、何故多くの魅力的なモデルが冬場にはガレージに仕舞い込まれるのだろうと思っていた。

思い出に残る旅の多くが悪天候に見舞われており、それがクルマとコースにとっての新たな挑戦となっていたのだ。

300psを発揮するベーシックな2.0L水平対向エンジンに6速マニュアルギアボックスを組み合わせ、オプションによってシャシーを締め上げたミニマルなボクスターTであれば、こうした禁欲的な旅にはまさにぴったりのモデルだと言える。

今回この旅を決意したもうひとつの理由が、もっとも純粋なノースコースト500(NC500)を体験してみたいという思いだった。

2015年にノースコースト500と呼ばれるようになったことで、ロスとサザランド、ケイスネスというスコットランドの歴史あるエリアを周回するこの全長512マイル(824km)の海岸線ルートは大変な人気となり、いまでは多くのクルマ好きが死ぬまでに一度はここでのドライビングを経験したいと思っている。

だが、夏場は多くのドライバーやライダーが殺到するため、ほとんどが狭い1車線のこのルートでは、地元のひとびとを苛立たせるほどの渋滞が頻繁に起こるようにもなっているのだ。

1月の警報が出ているような天気であれば、こうした渋滞に見舞われる心配もないだろう。

嵐の前の静けさ

インヴァネスを出発したのは早朝だった。

カメラマンのリュック・レーシーはすでにNC500を経験しており、2017年、リチャード・ウェバーとふたりでフィアット500に乗って3日間でこのルートを走破した彼は、この日数ですら非常に厳しいスケジュールだったと話している。

シートヒーターとウインドディフレクター、そしてニット帽がオープンモータリングの必需品だ。
シートヒーターとウインドディフレクター、そしてニット帽がオープンモータリングの必需品だ。

そして、今回われわれに与えられた時間はわずか1日半しかないのだから、間違いなくタフなチャレンジになるだろう。

天候はルーフを下ろしたまま出発できるほど穏やかで、外気温は5℃と表示されているものの、ボクスターのシートヒーターとウインドディフレクター、そしてよく効くヒーターの組み合わせのお陰で、キャビンは十分に暖かい。

さらに、荒々しいというよりも起伏が続くと表現したほうが相応しい穏やかな景色のなか、雨もなく微風だけを感じていると、ボクスターのタイヤを冬用に交換してはどうかというポルシェからの提案を受け入れたのは、大げさだったかも知れないと思ったほどだった。

だが、ミュアー・オブ・オードから天気は大きく変化している。

A835線で西へと向かうとすぐに交通量は激減し、5分以上他のクルマに出会わないこともしばしばだった。

さらに高度を上げると道路脇の木々が少なくなり始め、ハイランド地方を象徴するような景色が広がるが、進路を維持するにはしっかりとステアリングを握っておく必要があるほどの突風に見舞われている。

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