【悲しくて見ていられない?】クルマの最後に密着 余生はリサイクルパーツに

公開 : 2020.06.14 06:20

長年家族に愛されてきたであろうヴォクゾール・ザフィーラの最後に密着しました。英国最新最大のリサイクル企業で目にしたのは、クルマ好きなら思わずゾッとする光景でしたが、一方で廃車車両から回収されたリサイクルパーツには大きな役割が期待されています。

最後のエンジンオフ

みなさんであれば、どんな思いでこのザフィーラのエンジンを最後に切ることになるのかご理解頂けるだろう。

これまでの14万5000kmと18年間、数えきれないほどエンジンオフを繰り返してきたが、それでもふたたびイグニッションキーがオンにされることは確実だった。

ASMオートリサイクリング
ASMオートリサイクリング

休日にこども達を公園へ連れて行ったり、買い物に行ったり、週末には祖父母のところへ行ったりする度にこのザフィーラはエンジンを切られてきた。

毎日の通勤だけでなく、時には空港へ行ったり、定期的なメンテナンスや故障のために修理工場へと向かい、そのたびにエンジンはオフにされてきたのだ。

そして、いまこのリサイクルセンターで、ザフィーラのエンジンは本当に最後のエンジンオフを迎えることになる。

ここでこのクルマはパーツをはぎ取られ、押し潰され、リサイクルされることになるが、これまでの実直な働きぶりに感謝の気持ちを表す歴代オーナーたちの姿はない。今回その役目を託されたのはわたしなのだ。

カメラマンのリュックを乗せて30km程ステアリングを握ったこのクルマのことをとても好きになっていた。

このクルマを貸してくれたASMオートリサイクリングを出たわれわれは、サウス・オックスフォードシャー周辺でエンジンと燃料の警告灯に注意しながら慎重に運転を続けていたが、思わず数年前所有していた2001年登録のザフィーラ1.8コンフォートのことを思い出していた。

忠実なファミリーカー

このザフィーラは家族に愛された忠実なファミリーカーだった。

同じザフィーラのオートマティックモデル、2.2デザインの下取りに出した時には妻が涙し、その数年後、この2.2が2000ポンドもの大金を要するタイミングチェインテンショナーの故障に見舞われたときにはわたしが涙している。

ザフィーラの最後に密着
ザフィーラの最後に密着

そしていまステアリングを握るザフィーラで、リュックとわたしは墓地を探していたが、これはリュックのアイデアだった。

この古いヴォクゾールが墓石に囲まれているシーンは素晴らしい1枚になると考えたのだ。

われわれは最終的に2万もの区画を持つ広大でカメラアングルも素晴らしい完ぺきな場所を見つけ出している。

カウリ―にあるこの墓地はミニの工場から2kmほどしか離れておらず、この日は英国がEUから離脱して最初の平日だったが、あまり墓地とミニの工場との関係性を考えないようにしていた。

このザフィーラは昨年ようやくMOT制度が導入されたばかりのジャージー島で登録されており、つまりこのクルマはその生涯でたった1回しかMOT検査を受けていなかった。

ということは、エンジン警告灯が点灯し始めたのはそのたった1回のテストを受けた後だったに違いない。

O2センサーの問題だろうか?

明らかに数年前にはブッシュ交換が必要な状態だったことを考えると、ザフィーラ/アストラの弱点であるリンクロッドからの異音は検査官が見逃したのだろう。

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