【価格上昇中 善は急げ】ランチア・デルタ・インテグラーレ 英国版中古車ガイド

公開 : 2020.03.24 10:20  更新 : 2020.12.08 10:55

世界ラリー選手権のアイコンといえる1台、ランチア・デルタHFインテグラーレ。調子の良いクルマは最高の相棒ですが、ひどいクルマは手に負えないことも。像のエンブレムが可愛いハッチバックに手を伸ばす時の、注意点を見てみましょう。

今ならまだ手の届く範囲にある

text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)

 
善は急げ。1986年から95年にかけて製造された伝説的なランチア・デルタHFインテグラーレは、日に日に希少に、高価になっていく。

まだ諦めてはいけない。勇気を出せば、オークションでインテグラーレを購入することもできる。8バルブ(8V)を1万5000ポンド(202万円)で買った人を、筆者は知っている。

ランチア・デルタHFインテグラーレ(英国仕様)
ランチア・デルタHFインテグラーレ(英国仕様)

そのクルマは、左ハンドルから右ハンドルへとコンバージョンされていた。手掛けたのは、英国ではランチアのスペシャリストとして名の通ったガレージ、ジョン・ウォーリー。心配しなくて大丈夫だろう。

安心材料となるのが、9万kmほどの走行距離。整備記録もしっかり残り、作業は専門店で行われていた。本格的なボディのレストアは2008年に済んでいる。

オークション業者は、とても良い状態だと評価していた。丁寧に乗られてきたデルタ・インテグラーレが、まだ手の届く範囲に存在するということだ。

まっさらなインテグラーレ・エボ2だと、最近は4万ポンド(540万円)に迫る。最終生産ラインのクルマには15万ポンド(2025万円)という値段も付いているが、グレードによってはまだチャンスはある。

ランチア・デルタは、1986年に標準ボディのHFが登場。ビスカス式センターデフを備えた4輪駆動で、トルセン式のLSDも装備。2.0L 4気筒ターボエンジンは164psを発生させた。

オフロードで活躍するコンペティション・バージョンへ注目が集まる中、1987年にアップグレード。インテグラーレという名が付き、膨らんだフェンダーを持つワイドボディをまとい、トレッドも拡大された。

日本から英国へ輸出されるデルタ

ホイールサイズも拡大され、ホイールアーチも広げられた。バンパーには大きな通気口が穿たれ、吊るしの状態でもカッコいい。

当初登場したインテグラーレは184psの8バルブ・エンジンだったが、ラリーでの活躍を受け、1989年になると16バルブへと改良。200psを発生し、リアタイヤ重視のトルク配分が与えられている。

ランチア・デルタHFインテグラーレ(英国仕様)
ランチア・デルタHFインテグラーレ(英国仕様)

車高は20mm低くなり、タイヤの直径も大きくなっている。1991年になると、さらにワイドボディ化されたエボルツィオーネが登場する。

エボ1は210psだったが、1993年になるとエボ2が登場。16インチホイールを履き、触媒コンバーターに足を取られながらも215psを獲得する。どちらにも特別仕様車が用意された。

インテグラーレはどれも新車時から安いクルマではなかったが、いまでは多くが30才を過ぎつつある。改造車も少なくないし、状態の悪いクルマも中にはある。

特に多いのが、8Vを16V風に改造しているインテグラーレと、エボ1をエボ2風に改造しているエボルツィオーネ。先出のとおり、右ハンドルに変更する人も英国にはいた。どんなに丁寧に手を加えても、オリジナルの左ハンドル車ほどクイックでダイレクトなフィーリングは得られない。

日本から英国へと輸出されるクルマは、状態に優れるモノが多い。一方でドイツ人やアメリカ人は、英国市場にある状態の良いクルマを持ち出している。

そのような取引の過程で、デルタの価格はさらに高くなってしまう。もし欲しいと考えているなら、モタモタしない方がいいだろう。

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