【AMG製SUVの頂点】メルセデスAMG GLS 63 V8+マイルドHVで625ps
公開 : 2020.03.26 10:20
峠道が楽しいと感じるほど
エンジンの良いパートナーとなっているのがトランスミッション。標準のGLSよりも素早く必要な段数を選んでくれる。
GLS 63の走りは、身体がシートに押し付けられる加速だけではない。スピードを緩めてコンフォート・モードを選べば、とても上質な長距離クルーザーへと性格を変える。
ドライブモードでスポーツとスポーツ+を選ぶと、120km/h以上でエアサスペンションは自動的に車高を20mmダウン。コンフォートモードでも10mm低くなる。
23インチというオプションの大径ホイールを履いていても、しなやかな乗り心地を残している。ライバルとなる高性能SUVで最も快適なモードを選んでも、敵わないとすら感じる上質さだ。
3世代目のGLSから大幅な技術的な改良を受けているGLS 63。乗り心地にその成果が出ている。高いギア比での中間加速も、素晴らしく洗練されている。
アクティブ・エンジンマウントは、コーナリング時には引き締まり、強力なパワーユニットをしっかりと支持。直線路では柔らかさを増し、凹凸があってもエンジンが生む振動を軽減してくれる。
電子制御のアクティブ・アンチロールバーは、コーナリング中のボディーロールを軽減。直線では柔らかくなり、乗り心地への影響を抑えてくれる。
4輪操舵を装備する一部のライバルほどではないにしろ、この大きさと車重を考えれば、ワインディングでの機敏な身のこなしには驚かされる。先代のGLS 63と比較すれば、操縦性の正確さは、大きな進歩。峠道が楽しいと感じるほど。
選ぶべきはGLS 63か、GLE 63か
4輪駆動システムの4マティックは、標準の電子制御リミテッド・スリップデフが組み合わされる。リアタイヤで得られるグリップが足りなくなるまでは、基本的には後輪駆動がベース。必要なら、最大50%の力を前輪に伝えることが可能。抜群のトラクションを生み出す。
インテリアの仕立ては、従来通りのAMGらしさを漂わせる。専用の計器パネルにステアリング、フロントシートやインテリアトリムはAMGの専用品。
メーターパネルとインフォテインメント・システムは、高品質な12.3インチのツインモニターで対応。メルセデス・ベンツ製の最新版MBUXインターフェイスで稼働する。画像はとても高精細だった。
反面GLS 63は、ハイエンドSUVらしい、特別感がインテリアで薄いことも確か。多くの部分で、一回り小さいGLE 63との近似性を感じてしまう。
大きなボディだから車内は広々。3列シートにはちゃんと7人が座ることができるし、荷室容量は355Lが残る。3列目を畳んで5名乗車とすれば、890Lの荷室空間が生まれる。
メルセデスAMG GLS 63の能力の振り幅には感心する。北米市場では、一定の支持を受けることだろう。一方で先代比で77mm長く、22mm広がったボディは、英国や日本の道に適しているとはいいにくい。
ハイパフォーマンスな、3ポインテッドスターの7名乗りSUVを探しているのなら、GLE 63と良く比較した方がいい。少し狭くても、ひと回り小さく扱いやすい。理にかなった選択肢となるかもしれない。
メルセデスAMG GLS 63 4マティック+のスペック
価格:13万5000ポンド(1822万円・予想)
全長:5207mm
全幅:1956mm
全高:1823mm
最高速度:280km/h(ドライバーズ・パッケージ時)
0-100km/h加速:4.2秒
燃費:8.3km/L
CO2排出量:273g/km
乾燥重量:2555kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツインターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:611ps/5750rpm+22ps
最大トルク:86.3kg-m/2250rpm+25.3kg-m
ギアボックス:9速オートマティック