【なぜ?】トヨタがNTTと資本提携するワケ
公開 : 2020.03.24 17:25 更新 : 2021.10.09 23:54
「トヨタとNTTが資本提携」。突然の会見実施でした。狙いは何か? キーワードは「CASE」です。改めてCASEとは何なのか? 豊田社長がよく使う「100年に一度」の意味は? 桃田健史がまとめました。
トヨタとNTT 突然の会見実施
「トヨタとNTTが資本提携」
2020年3月24日朝、一部メディアが「本日中に会見がある模様」と第一報を発信した。
トヨタ広報部から同日午前10時45分、「新型コロナウイルス感染を考慮し、本日15時からオンライン会見を実施」とのメールがあった。
会見では、NTTの澤田純社長、トヨタの豊田章男社長が揃って登壇し、提携の証としてがっちりと握手した。
両社それぞれが2000億円を出資した業務提携を結んだことを明らかにした。
プレゼンと質疑応答の中で、両社長が何度も口にしたのは「スマートシティ」という言葉だ。通信を含む先進的な技術を使った町づくりを意味する。
会見での大筋は、トヨタとNTTがデータを活用した日本発のデータプラットフォームを世界に向けて発信する、というもの。
それをオープンマインドで行い多くの仲間を増やすと説明する。
その中で「社会が大きく変化した」「クルマは社会の一部」「人中心の社会へ」といった、抽象的な表現が多い印象がある。
さらには、地域のため、国のため、世界のためといった言葉の数多く登場。日本を代表するグローバル企業である2社としては、当然の言い回しだと思うが、あまりにも絵が大き過ぎて、質問する新聞系メディアの記者も、ちょっとやりにくそうな雰囲気があった。
一方、技術面で見ると、やはりキーワードはCASEだ。
改めて、CASEとは? 100年に一度とは?
豊田章男社長は2010年代半ば過ぎ頃から「自動車産業は100年に一度の大変革」という言葉を新車会見や決算報告、さらにはテレビのバラエティ番組での出演時など、様々な機会に多用するようになった。
この大変革の背景として、CASE(ケース)という言葉も使う。
改めて、CASEとはなにか?
Cは、通信によるコネクティビティ。
Aは、自動運転や自律走行を意味する、オートメイテッドやオートノーマス。
Sは、新しいサービスやシェアリング。
Eは、パワートレインの電動化の、エレクトリフィケーション。
つまり、CASEによって自動車の作り方、買い方、使われ方、そして修理の仕方までが、大きく変わる可能性がある、という考え方だ。
そもそもCASEは、ドイツのダイムラーが自社の事業方針を示すマーケティング用語として名付けた、造語である。
当初は、BMWやフォルクスワーゲングループ、アメリカのGMやフォードなども、CASEとは字面が違う略語を使っていた。
だが、メディアではCASEという言葉が一般名詞のように使われるようになり、日本でもトヨタをはじめCASEという呼び方が自動車産業界や経済界で浸透した。
そうしたCASEについて、2010年代は自動運転に見られるように、様々な実証試験が行われてきた。それが2020年代にはCASEの社会実装に入るのだ。
そこで重要になってくるのが、通信だ。