【純EVへのゲートウェイ】トヨタ・カローラ(6) 英国の2035年問題 長期テスト
公開 : 2020.03.28 18:50 更新 : 2021.01.28 16:58
新しく生まれ変わったトヨタ・カローラ。競争の激しいファミリーカーの中で、どれほど優れた内容を備えているのでしょうか。日本ではカローラ・スポーツと呼ばれるハッチバックを、時間を掛けて英国編集部が検証します。
積算9157km 純正ナビのテンキー
英国の場合、ナビの目的地設定に便利で速いのが郵便番号。だが、トヨタ・カローラ・スポーツの英国仕様の場合、テンキーは別のキーボードメニューを選ばないと表示されない。文字種類の変更ボタンを押す必要がある。
数字を入力した後、アルファベットを入力するにも、切り替えが必要。なかなか面倒だ。
積算9499km カローラへの控えめな反応
トヨタ・カローラ・スポーツに乗った後の感想を聞くと、多くの人が「うーん、良いですね」 といった反応をする。同時に、丁寧に少し頭をうなずかせる。即答するわけでもない。
家族や友人、同僚が初めてカローラ・スポーツに乗った後の反応も薄かった。しばらく待って、色々確かめるようにしたあと、「うーん、良いですね」 というような言葉が出てくる。
自動車の評価が仕事のわれわれは、感情の変化を求めがち。カローラ・スポーツのようなクルマの場合は、相応しい反応なのかもしれない。特にエキサイティングでなくても、とても心地よく、好感が持てるクルマだ。
熱烈な賛辞や、目を見開くほど感心するクルマに出会うことはある。でも多くの人が、自然に肯定的な反応をするクルマは多くはない。
ただし、すべての人がカローラ・スポーツ、あるいは搭載するハイブリッドを好意的に受け止めているわけではないことも確か。英国政府はハイブリッドモデルを、ガソリンやディーゼルエンジンと並んで、環境的に今後推奨できないクルマに含めたのだから。
EVを購入する準備は整っている?
内燃エンジンを搭載したクルマの販売禁止は、2035年までに導入される予定で、英国が排出するCO2をゼロとする計画の1つ。確かに、ハイブリッドであっても走行すればCO2を排出するから、理解はできる。
CO2を排出するクルマを国民が買わなければ、CO2の削減は容易になる。だが、それは難しい問題に対する、狭い視点での表面的な解決手段だとも思う。
純EVが、走行中にCO2を排出しないことは間違いない。ただし、どれだけ環境に優しいのかは、生産方法や発電方法に大きく依存する。非常に多岐に及ぶ課題だといえる。
昨今の純EVの発売ラッシュを見れば、内燃エンジンの新車販売が禁止される前に、多くの英国ドライバーがEVへ乗り換える可能性は高そうだ。同時に、いまクルマの購を考えている人にとっては、悩ましい移行期でもある。カローラ・スポーツに対する反応も、それに表れているのかもしれない。
わたしの家族や親戚にも、来年頃には新しいクルマを購入しようと考えている人が数名いる。案の定、彼らは混乱している。
ボディサイズやクルマの種類を選ぶだけでなく、パワートレインの選択肢も多岐にわたる。ガソリンやディーゼルエンジンに加えて、ハイブリッド、プラグイン・ハイブリッド、純EVとが並ぶ。
それぞれに長所と短所がある。現実的な利用と今後の推移とで、疑問や懸念は少なくない。AUTOCARの熱心な読者なら違うかもしれないが、多くの人にとって、純EVは別世界の未来的な乗り物にも思えることだろう。