ロードテスト ルノー・キャプチャー ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2020.03.28 11:50

モデル末期にも販売好調だったルノー・キャプチャーが世代交代。ルックスや質感、実用性などは確かに改善されたものの、テスト車の乗り心地からは(仕様に負うところも大きいですが)初代の美点が失われていました。

はじめに

初代のルノー・キャプチャーは、珍しく成功が長続きしたクルマだった。登場時よりも、生産最終年のほうが多くの台数を販売したのである。少なくとも、われわれにとってそれはサプライズだ。

2013年に登場した初代キャプチャーは好ましいクルマだった。運転は楽で、ルックスも魅力的なうえ、適切なエンジンを選べばかなり経済的。しかも、この手のジャンルの火付け役となった日産ジュークに比べ、全体的に熟成されていた。もっともジュークのほうは、賛否両論を呼ぶクルマだったが。

とはいえ、キャプチャーにも好きになれない部分はあった。プアなボディコントロール、軽いステアリング、そして無感覚な操縦系などだ。それも玉にキズといったところか。

それでも前記したような売れ行きをみせたのは、BセグメントSUV、もしくは小型クロスオーバーというセグメントが容赦ないほど急速に成長し、それが今なお続いているから。そんな中でも、スタイルとバリューを兼ね備えたキャプチャーは、とくに成功を収めたのだ。

そんなヒットモデルのフルチェンジとなれば、ロードテストで取り上げないわけにはいかない。身内ともいえるジュークくらいしか競合相手のいなかった初代と違い、2代目はフォード・プーマやフォルクスワーゲンTクロスプジョー2008など、強豪揃いのフィールドで戦わなければならないモデルなのだ。

けれども、ルノーは単にこのクルマの外観をリフレッシュしただけではなかった。2代目キャプチャーは、ルノー/日産/三菱アライアンスの新たな小型車向けプラットフォームを使用する。

これはハイブリッドやプラグインハイブリッドに対応するべく、白紙から新開発されたものだ。それでも、近い将来を念頭に置いた低CO2パワートレインのみならず、従来通りの選択肢も残されている。

先代モデルより全長は大きく伸び、室内空間も拡大。また、ハードウェアの多くを共有する現行クリオと同じく、快適性や豪華さも引き揚げられている。

このプラットフォームは、最近までより大型で高額なモデルにしか採用されていなかった運転アシストシステムにも対応。データ上は剛性も高まっており、路上での挙動も改善されているはずだ。

言い換えるなら、欧州の小型クロスオーバー市場でダントツのベストセラーは、よりゆるぎないオールラウンダーになったと思われるのだ。はたしてこの新型は、販売台数の新記録を叩き出すに値するクルマとなっているのだろうか。

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