ロードテスト ルノー・キャプチャー ★★★★★★★☆☆☆
公開 : 2020.03.28 11:50
走り ★★★★★★☆☆☆☆
ガソリンユニットの中間機種と2ペダルのギアボックスを組み合わせたパワートレインに、スムースさやレスポンス、よく回るフレキシブルさを期待すると、物足りなさにいらだたしささえ覚えることになる。
それがもっとも明らかになるのは、市街地の中心部を走るときのような低速時だ。それこそ、コンパクトなクロスオーバーにとって本領を発揮できる舞台であってほしいのだが。
元凶となっているのは、的を外したギア比設定で、気の利かないデュアルクラッチ式トランスミッションだ。発進時には、ガッカリするくらいつながりが遅い。これに不安定なスロットルレスポンスが重なり、クリーンに発進できないのだ。
スロットルペダルを少しだけ踏むと、はっきりした遅れのあとでソロソロと動き出す。ちょっと深く踏み込むと、唐突につながってクルマを前へと押し出し、だらしなくよろめきながら進んでいく。
前輪がホイールスピンして、トラクションコントロールが立ち上がることもしばしば。スロットルレスポンスが、ギアボックスの鈍さをカバーすることに主眼を置いてチューンされたかのようだ。
トランスミッションの作動の直観性は、速度が上がってもさほど改善されない。しきりにシフトアップし、かなり控えめなスピードでも高いギアを保ちたがるのだ。そのため、トルクバンドを使うためには、しょっちゅうキックダウンさせる必要がある。
とくにイライラさせられるのは、速度回復を図ったときだ。それほど長い距離を走らなくても、そうした欠点が気に障りはじめるといえば、説明は十分だろう。
このクルマ、1.3Lエンジンにもいいたいことはあるが、トランスミッションほどひどいものではない。初期のパワーデリバリーはじつに勢いがよく、回転を上げるにつれサウンドもフィールも急速に張りつめたものになりだす。
そうはいっても、このエンジンは現実的な状況下で、ずば抜けてはいないもののなかなか強力なパフォーマンスをもたらす。また、巡航時のエンジン回転数では洗練性も静粛性も十分だ。
寒くドライコンディションのテストコースでは、48-113km/hが9.2秒、0-97km/hが9.4秒だった。これより大柄で多少パワフルなキアXシードの1.4 T-GDIが昨年のテストでマークした8.7秒/9.3秒よりほんのわずかに後れるが、ガソリンエンジンを積むコンパクトクロスオーバーの現在の水準からすれば1秒程度のアドバンテージがある。