【アフリカの悪路を3日間】ランドローバー・ディフェンダー110 Sへ試乗 前編
公開 : 2020.03.28 10:20 更新 : 2022.08.08 07:49
アルミ製のモノコックボディ
新型は、先代のディフェンダーの足跡に、プレミアム性を備えたクルマとして再登場した。初代ランドローバーが生まれたきっかけともいえる、質実なニーズに合わせたクルマではない。
ポルシェ911は常にスポーツカー。シビックは昔からファミリー向けのコンパクトカーだ。新しいディフェンダーは、変わった。必ずしも悪いことだとはいわないけれど。
まずはボディを眺めてみよう。デザインの好みは、人によって異なる。見慣れるにつれて、感じ方も変わってくる。実際、筆者は2019年に見たときとは違う印象を持っている。
ハードウエアは、客観的に評価できる部分。切り立ったリアエンドには、横開き式のテールゲートが付く。ボディ長が異なる90か110に応じて、3ドアか5ドアが選べる。土台とするのは、ジャガー・ランドローバー製のアルミニウムD7アーキテクチャだ。
アーキテクチャを共有するからといって、他のモデルをベースにしているわけではない。このD7と呼ばれるプラットフォームは、ジャガーXEやレンジローバーなども土台としている。純EVのジャガーIペイスすらD7だ。
もちろん、部分的なモジュールやクラッシュ構造は共有する。フロントアクスルとダッシュボードの間に納まる、高価なエンジンも共有することになる。
ディフェンダーの場合、表面のボディパネルだけでなく、内部構造も含めたホワイトボディ全体がアルミニウム製となるのが大きな特徴。ボディの位置も、ランドローバー社のモデルの中で一番高い。
ガソリンとディーゼルだけでなくPHEV版も
フロントとリアのサブフレームはスチール製で、接着剤とリベットで接合。そこへ、4輪ともに独立懸架式のサスペンションが組み付けられる。フロントはウィッシュボーン構造で、リアはインテグラルアームを採用する。
独立シャシーは存在しないモノコック構造。リジッドアクスルでもない。ジープ・ラングラーは前後ともに、トヨタ・ランドクルーザーやメルセデス・ベンツGクラス、その他のピックアップの多くが、今もリアはリジッドアクスルなのと反する。
ランドローバーによれば、ねじり剛性は29kNm/degを確保しているという。最大積載量は900kg、牽引重量は3500kgまで許容する。ちなみに北米では規定上、3700kgまで引っ張れる。
エンジンは2.0Lの4気筒ディーゼルターボが、200psと240psの2種類。2.0Lの4気筒ガソリンターボが300psで、3.0LのV6は401psを発揮する。プラグイン・ハイブリッドも間もなく登場予定。
「グレタさんに批判されるような、(環境意識の低い)最後のモデルとはしたくありませんでした。正当化できるクルマだと思います」 とブラチュティガム。今回の試乗車は、最も強力なディーゼルターボとガソリンターボの2台だ。
すべてのエンジンはZF社製の8速ATと組み合わされる。MTは用意されない。おそらく今後も。電子制御されるセンターデフとリアデフを備え、ランドローバー自慢のテレインレスポンス・システムで武装する。
ラングラーやGクラスのように、デフロックはできない。ローレシオのトランスファーは備える。